遠藤功「Made in Japanにこだわる日本電子」

ニッポン中堅企業の秘めたる爆発力

東京の郊外・昭島市に、ノーベル賞受賞者をはじめとする世界の一流科学者たちが詣でる中堅企業がある。その数、なんと年間千人以上。日本のものづくりの凋落ばかりが喧伝されるが、ここには日本の最先端技術と高度技能を求めて、世界中から人が集まる。

世界の一流の科学者たちが詣でる会社 

私が訪問した時も、ロシアとイスラエルからの訪問者が熱心に議論をしていた。毎日2~3カ国からの訪問者があり、後を絶たない。 

その会社の名前は日本電子。通称JEOL(Japan Electron Optics Laboratory)。一般にはあまり馴染みがないが、世界の科学者の中でこの名を知らない人はいない。

日本電子は1949年に日本電子光学研究所としてスタートした。創業者である風戸健二氏(2012年6月26日逝去)は、戦後の動乱期に「科学技術を通して日本の復興に貢献したい」という思いを抱き、電子顕微鏡の開発に取り組んだ。そのDNAは脈々と受け継がれ、今では世界最高峰の電子顕微鏡メーカーとして、その名を世界に轟かせている。

同社のフラッグシップ製品である「JEM-ARM200F」は、物質の最小単位である原子を直視できる電子顕微鏡だ。その走査透過像は世界最高の0.08nm(ナノメートル)。この顕微鏡がなくては科学分野におけるノーベル賞は受賞できないと言われるほどの製品である。

2010年に話題となった小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った「イトカワ」の微粒子を分析したのもJEOLの電子顕微鏡だった。世界の科学の発展を支えているのは日本電子の技術なのである。

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