遠藤功「Made in Japanにこだわる日本電子」 ニッポン中堅企業の秘めたる爆発力

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1台3億2000万円もするこの「ARM200F」が今、世界で売れに売れている。09年度の販売開始から10年間で100台を目標にしていたが、4年足らずで80台以上を受注。2012年度上期だけで20台受注している。

その牽引役は海外である。欧米のみならず、科学技術に力を入れ始めた新興国からの受注が急増している。海外比率は70%。中でも、米国、韓国、中国の3国で半分を占めている。液晶テレビや携帯電話などで遅れをとっていると言われている日本勢だが、実はこうした技術の粋を集めた分野では、世界でも圧倒的な存在感を示しているのだ。

日本電子は電子顕微鏡だけの会社ではない。核磁気共鳴装置などの分析機器や電子ビーム描画装置などの半導体関連機器、自動分析装置などの医用機器など、ナノテクやライフサイエンス、環境などの分野において独自性の高い製品群を擁している。理科学・計測機器分野でこれだけ多様な製品群を抱えるメーカーは世界でも類がない。

しかも、日本電子はMade in Japanにこだわっている。全社の輸出比率は約50%。電子顕微鏡に至っては70%に達するが、それでも日本電子は日本でのものづくりにこだわり、すべて日本で生産している。

雌伏の時を超え、V字回復へ

日本でのものづくりにこだわる日本電子にとって、長引く超円高はまさしく逆風だった。しかも、国の科学振興費は大きく削られ、さらに日本のものづくり企業の業績低迷によって、官民向けともに、国内の需要は減少の一途だった。

こうした市場環境だけでなく、日本電子は社内的にも大きな問題を抱えていた。部門の壁、関係会社間の壁による縦割り組織の弊害、甘いコスト意識、固定費の増大など、せっかくの高い技術力を活かすことができず、低収益に喘いでいた。

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