菅元首相「東電は官邸に責任転嫁している!」 「炉心溶融」を隠ぺいしたのは誰なのか?

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舛添知事のケース同様に”第三者”とは名ばかり?第三者検証委員会の報告書を田中委員長から受け取る廣瀬・東電社長(撮影:尾形文繁)

――真相究明には、何をすべきだと思いますか。

政府事故調の資料に関しては、吉田所長の調書こそオープンになったが、清水社長の分は公表されていない。武黒氏を含む東電幹部の多くも同様だ。東電社内のテレビ会議映像も全面的には公開されていない。映像があっても音声がなかったり、途切れ途切れのものもある。徹底的に調査するのであればそういうものも再調査して公表すべきだ。それをやらないで、東電社内だけで聞き取りをしても、とても公正な調査とは言えない。

第二次国会事故調で徹底検証を

――今回の隠ぺい問題は、原子力発電事業者としての、東電の適格性や信任問題にもつながりませんか。

まったくその通りだ。国会事故調が終了した時に、黒川清委員長(当時)は後継組織を作ってほしいとおっしゃっていた。与野党でもその点では認識が一致していた。しかし、自民党は政権に戻ってからは福島原発事故の真相究明には不熱心で、後継組織を作るという与野党の約束をサボタージュしている。

福島原発事故のいちばんの問題は、事故そのものが終わっていないことと同時に、事故の検証が終わっていないということだ。事故を検証する場として、第二次の国会事故調を設置すべきだ。ここ数年の間に新たに分かってきた事実もあるのだから、徹底的に検証を進める必要がある。それがなければ、実効性のある安全対策は決められるはずがない。

そして、東電は事故を起こした当事者として検証をきちんとしてくださいとお願いするべきだ。それをせずに自分に都合のいい調査だけをやって、なおかつ炉心溶融のマニュアルも隠していたのだから、誰も信用しない。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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