私は母親のことを考えるだけで息苦しくなるあなたが母親と行き来するのは、まだ時期尚早だと思います。実直なお父様がお母様をあなたと孫に会わせたいと判断された時期だとも考えられ、それも考慮に入れるほうがいいかもしれませんね。
一歳になられたあなたのお子様が可愛い盛りに、必ずお父様も同席するという条件でお会いしてみてはいかがですか。いかなる理由を述べられても、ビタ一文もお母様には渡さないという覚悟で。
家族ゆえの病にかかったのも、修業と考えよう
ついつい誇張やウソが混ざっているとわかっていても、窮状を聞けば無理してでもおカネを渡してしまうのが肉親の情ですね。下重曉子氏著の「家族という病」は内容の是非は別として、タイトルには家族問題で悩んでいる人に、「あなただけではありませんよ」と慰めているような響きを私は感じました。
お母様は自分の過度なおしゃれや嗜好のためならおカネに糸目をつけず、家族のためにはあまりおカネも心も使わなかったのですね。他人でしたらずっと前に縁切りできたタイプの人で、まさに家族ゆえの病にかかったような夫婦・親子関係でした。
それでも窮状を訴えられるたびに、おカネを用立てて来られたのですね。無口であなたにも厳格だった父親とあなたとの少し距離があった関係も、悪く考えればお母様はうまく利用されました。
あなたは本当によくそこまで助けてこられましたね。母娘といえども、誰もがそこまでできることではありません。お母様には“高い授業料”を払いましたが、あなたの性格では、当時はそうするほかない修業だったと考えを切り替えて、あまり恨みを残さないように努力できればいいのですが。
読者の中には、こんな母親が本当に居るのかと驚かれる方もおられるかと思います。ただこの連載コラムにも同様の相談が結構寄せられていますし、実際私もこのような人を何人も知っています。
浪費家の横綱格は以前にも本連載で紹介したことがありますが、あなたのお母様にそっくりです。
高給取りの夫からもらう生活費はすべて自分のぜいたくのために使い、子供たちの洋服や下着代さえ、おカネがないから父親から貰えという人です。そのようにして自分の物欲は満たしましたが、そのことで子どもを傷つけ、親子の断絶が始まっていたことには、露ほども気づかなかったのでした。
離婚話が具体化した時にこの人が言った言葉が忘れられません。「これからはおかずも作るし、子供の服も買うから許して」。どこかの知事の、「給料全額要らないから、知事を続けさせてほしい」と同じですね。いったん信頼関係が崩壊すると、おカネやモノでは修復できません。そのことを理解するには、あなたのお母様も、もう少しその状態が必要に見えます。
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