電撃的な決断をしたカリスマ経営者の肉声を聞きたいという株主が多かったのか、6月22日に開催された日産自動車の今年の株主総会の出席者は2098名と去年より2割以上多かった。
カルロス・ゴーン社長は株主から経営者としての心構えを問われ、「すべての危機や問題は好機である。その好機を捉えられれば、会社は成長できる」と、自信満々に答えた。
日産は協業相手である三菱自動車の燃費不正問題が波及し、同社から提供を受けた軽自動車の主力車種「デイズ」「デイズルークス」の販売停止という危機に見舞われた。だが、その三菱自動車との資本業務提携で基本合意したことを5月に発表した。
8月までに三菱自動車の査定を終了
今年8月までに三菱自動車の資産査定を終え、重大な事項がなければ、10月をめどに第三者割当増資を2373億円で引き受け、34%の株式を握る筆頭株主になる。不正発覚から約3週間での大型出資の決断は、ピンチをチャンスに変えてきたゴーン流ともいえる。
株主からは「不正を行った会社に出資することは一般人の感覚からは考えられないが、今回の出資で本当にやりたいことは何か」と鋭い質問も飛び出した。
ゴーン社長は「三菱自動車のピックアップ、SUV(スポーツ多目的車)、プラグインハイブリッドを活用できる」と日産側の具体的なメリットを説明。「日産・ルノー連合は三菱自動車の果たす役割の増大を通じてメリットを得られる」と理解を求めた。
ただ、不正問題に関しては「自動車メーカーの将来の繁栄を考えると絶対に避けなければならない」と語気を強め、「企業風土の改革や信頼を回復するにあたってサポートできる」と、今回の決定が前向きなものであることを強調した。
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