日産の抱える懸案はゴーン社長の後継問題だ 社長報酬10億7100万円に株主の反応は?

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多数の株主に取り囲まれるカルロス・ゴーン社長

総会終了後は、毎年恒例となっている立食形式の株主懇親会を開催。乾杯の挨拶をしたゴーン社長は、早速、記念撮影がお目当ての大勢の株主に取り囲まれ、笑顔で応じていた。

懇親会では三菱自動車との資本業務提携について株主から様々な意見が聞かれた。

5年ほど日産株を保有しているという東京の40代の会社員の女性は「通常だったら関係を切ってもいいところで出資を決めた決断力はすごい」と興奮した様子で話した。その上で「三菱自動車は不正をしてきた会社なので大丈夫なのかという思いもあるが、日産の傘下に入ることで変わると思う。もう不正をしないと信じたい」とも話した。

ゴーン社長の後継問題が懸案に

日産と三菱自動車の株を両方持っているという78歳の横浜の男性は「今回の提携は思いもつかなかった。大きな視点で経営しているゴーンさんならでは」と評価したうえで、「三菱自動車は組織が肥大化、バックに三菱グループがついているという甘えもあった。人事の刷新やリストラをしないと会社は変わらないのでは」と厳しい見方を示した。

日産でエンジン開発に携わり、3年前に早期退職をしたという60歳のOBの男性は「報酬額が上がるのと同時にゴーンさんへの権限の一極集中がますます進んでいる」と指摘。「だが後継者で思いつく人がいないので、少なくとも後数年は社長をやってもらいたい。将来、社長が変わった時、業績面に影響はなくても、株価がどーんと落ちないか心配」と後継者難に懸念を示した。

日産とルノーのトップを兼任するゴーン社長は、日産の出資後に発足する三菱自動車の新体制で新会長に就任する可能性も噂されている。日産・ルノー連合の最大のリスクがゴーン社長の後継者選びと言われて久しい。三菱自動車を加えることで、「1000万台クラブ」入りも現実的となった今こそ、置き換えができない状態になっている自身の後継者をどう選ぶか、真剣に向き合う時ともいえる。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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