ゴーン社長「三菱自動車の変革にワクワク感」 なぜこのタイミングで提携を決めたのか

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"好機"に素早く動いた日産自動車のカルロス・ゴーン社長(記者撮影)

日産自動車は2370億円を投じて三菱自動車を事実上の傘下に収めることを決定。軽自動車の燃費偽装問題の発覚からわずか3週間、急転直下の展開は業界に大きな驚きを与えた。

業務資本提携に向けた協議開始発表から一夜明けた5月13日、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が報道各社の取材に応じた。

前日の会見では、ゴーン社長と三菱自動車の益子修会長は、2011年に両社で軽自動車の共同開発を行う合弁会社を立ち上げて以降、それ以外の分野でも事業提携の可能性について非公式に協議をしていたことを明らかにしており、この日の会見もその点に質問が集中した。

ゴーン社長は燃費偽装発覚後、日産が被るダメージを三菱自動車が全て補償するという約束を書面で取り付けたことを説明。その上で、両社間で協業範囲拡大に向けて具体的なリストアップを行ったところ、その余地が非常に幅広いことが分かり、さらに三菱自動車の株価の下落が重なったため好機と確信し、提携に向け急ピッチで動き出したことを明らかにした。

「株価下落で投資しやすくなった」

三菱自動車の株価は、燃費偽装問題発覚の前に800円台だったが、急落。日産は三菱自動車の行う第三者割当増資を引き受け、1株当たり468.52円で三菱自動車の株式を34%取得する予定だ。問題発覚前に同じ出資比率で三菱自動車株を買おうとすれば、4000億円以上必要となるので、4割以上割安に取得できることになる。チャンス到来にここぞとばかり動いたゴーン社長が三菱自動車との今後について語った。

――なぜこのタイミングで提携を決めたのか。

不幸な事象をきっかけに好機が生み出された。株価の下落も重なった。好機をつかめるか否か、それだけだ。噂やリークの危険もあったので、できるだけ早く動きたかった。提携の原則に合意したのは発表の数日前だ。

――デューディリジェンス(企業価値の評価手続き)の結果がどう出たら、提携をやめることになるのか。

ディールのクローズ(提携の本契約)は多分数カ月後だが、きちんと状況は評価する。信頼は回復されたのか、問題の規模はどれくらいか、日本だけの問題か、ペナルティがどうなるかも評価する。我々が三菱自動車の経営層から聞いて今理解していることに立脚する限り、協力する可能性があるということで提携の覚書を調印した。それ以上のことは言えない。

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