今年の総会で質問に立った株主は7名。毎年必ずといって良いほど質問のテーマに上がるゴーン社長の役員報酬については質問が出なかった。2015年度のゴーン社長の役員報酬は10億7100万円。初めて10億円を超えた2014年度に比べて、3600万円、率にして3.5%増えた。
日産の役員報酬は会社の業績や個人の成績、類似の多国籍企業の役員報酬などを分析して決めている。2015年度の取締役10名の役員報酬総額は15億3700万円。2014年度は取締役11名で14億6000万円。単純計算では1人当たり15%以上増えたことになる。2015年度は販売台数が542万台と過去最高、純利益も10期ぶりに過去最高を更新し、好業績が役員報酬の増額に繋がった。
ルノーではゴーン氏の報酬額に反対の声
ゴーン社長は自身の報酬について、同規模の自動車メーカーのCEOの平均値と比べても、近年差を広げられていると発言。「自社の役員がグローバル企業からの引き抜きの対象になっている」とも説明し、自身も含めた役員報酬の増額に理解を求めた。
ただ、ゴーン社長がCEOを務めるルノーでは、今年4月の株主総会で2015年の報酬として前年とほぼ同じ725万ユーロ(約8億5000万円)を払う議案に約54%が反対した。ルノーの2015年12月期は増収増益となっているにもかかわらずだ。
総会での議決結果に法的な拘束力はなく、ルノーは総会後に予定通りの支払いを決めたが、「成果には報酬で報いるべき」との考えを従前から示しているゴーン社長からすれば意外だったかもしれない。その点、報酬について会場の株主から質問すら出なかった今年の日産の株主総会は平穏だったといえるだろう。
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