「英国EU離脱」はどちらの結果でも株価上昇 離脱は最悪シナリオだが不透明感は払拭へ

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残留派女性議員が射殺されると言う不幸な事件で、過激な行動に出た犯人への反発か、残留確率は10ポイント上がり65%(ブックメーカーのベットフェアの賭けオッズ)となっているが、不安は拭えていない。

スイス国立銀行のジョルダン総裁は、「離脱が決定しスイスフラン相場が急騰すれば対応策を取る」と、政策金利のマイナス幅を拡大することも排除しないと述べている(16日ロイター)。さらに総裁は、離脱の可能性は高まっているものの、スイス中銀の基本シナリオとしては、離脱なしだと述べている。

裁定買い残高は枯れ切った状態

離脱するにしろしないにしろ、市場が嫌う不透明感は払拭される。もちろん残留なら短期的な買い戻しが入るだろうし、離脱でも、これからEU側と長期間の条約交渉が始まり、それは年単位の交渉事となる。予想されるのはカナダ型と言われる完全2国間交渉となるだろう。言い換えれば、新しい英国型を作って行くことになると推測される。

とにかく出来高が示す通り、株式市場は結果待ちの状態だが、信用取引残高や裁定取引残高は、いわゆる枯れ切った状態で、特に裁定買い残は先週末8億1000万株台まで落ち込んでいる。これは2012年8月頃の、アベノミクスが登場する前のもっとも疲弊した市場と同水準なのだ。

米国も日本も、ブリグジットを意識して政策を決定したと言われている。もし離脱となれば、日米欧が一丸となって強調介入する可能性は高い。8つのシナリオ内で最悪のシナリオ「米利上げなし(円高要因)、日銀ゼロ回答(同じく円高要因)、英国EU離脱(同じく円高要因)」となりつつあるが、なれば悪材料出尽くしで買い戻し(株価上昇)、ならなければ逆回転(株価上昇)が始まる。ここでの選択肢は考えるまでもないと思うが。

今週の日経平均予想レンジは1万5250円~1万6000円。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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