これに対して米国では、新しい産業が衰退産業に取って代わる新陳代謝がうまく進み、現在でも2%の潜在成長率を維持することができています。この点で、日本は米国に学ぶべきところが多いでしょう。
自動車産業の孤軍奮闘はいつまでも続かない
そこで、日本経済救済のために、政府による成長戦略こそが必要となっていきます。まず、政府がデフレ克服の対応策としてやらなければならないのは、生産性の低い産業や企業を、金融緩和や補助金によって延命させることではなく、そういう産業や企業に働いている人々のために新しい雇用を生み出すこと、すなわち、生産性の高い成長産業をつくり出すことなのです。
もちろん、新しい成長産業には、工場の海外移転が進む製造業や、賃金が低いサービス業などからの雇用の受け皿になってもらいます。そのために政府は、国内外で潜在的な需要が見込まれる分野に、積極的に投資をしていかなければなりません。
現在のところ日本経済は、自動車産業の孤軍奮闘によって何とか下支えされている状態です。しかしながら、自動車産業といえども、関連産業も含めてその就業者数は545万人にすぎませんし、就業者数も増加しているわけではないので、賃金が低い業種の受け皿とはなることができていません。
日本全体で6200万人を超える就業者がいる中で、1つの産業が好調を維持しているだけでは、賃金が高い雇用はなかなか増えず、日本が経済低迷から脱することは極めて難しいでしょう。
今後の日本は少子化・高齢化が加速度的に進んでいくことで、国内の需要がどう頑張っても縮小していくことは避けられません。
ところが、国外に目を向ければ、中国や東南アジアなど、世界で最も成長している市場が地理的に近く存在することを忘れてはなりません。これからは国内の需要だけではなく、海外の需要を大いに取り込むという視点を持って、成長産業を育てていく必要があるのです。
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