建機のカナモト、地方の公共工事遅延が直撃 北海道の優良企業が今期一転減益となる理由

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もう一つの要因である減価償却費については、期初計画では前期比8.5億円増の206億円を見込んでいたが、今回の修正では220億円に増えた。ニシケンの償却費が追加される影響が大きく、設備投資も高水準が続いている。今期の設備投資は、レンタル資産とその他を含めて384億円で、前期よりも約10億円増。「償却費は来期から再来期までは高原状態が続き、2019年10月期以降は減少する見込み」(金本副社長)という。

現在、カナモトが最も注力しているのが、国内営業基盤の拡充、とりわけ東京五輪やリニア中央新幹線などの関連工事が今後盛り上がる、関東エリアでの拠点増設だ。関東では過去1年半に5拠点を新設して、36拠点まで増加。「今後さらに強化していきたい」(同)。

また、整備新幹線やリニアの関連では今後、トンネル工事の増加が見込まれる。従来から保有するシールド工法用の機材に加え、これまで手薄だった山岳NATM(ナトム)工法関連の機材の強化に向けて、関連企業との業務提携を推進する意向を明らかにした。「トンネル工事に全方位で対応できる態勢を整えていく」(同)。さらに物流施設などの建築向け機械を強化するため、埼玉県三郷市で東京小物機械センターを開設したほか、千葉市で5000坪の用地を取得し自走式高所作業車の機材センターを今後着工する予定だ。

首都圏では五輪関連取り込む

カナモトは中期計画の数値目標として、2017年10月期の売上高1500億円、営業利益190億円を掲げている。金本副社長は「(営業利益目標の)達成はちょっと厳しいのが現状。だが、単体で来期は若干増益を担保できれば、ニシケンの分などを含め、近い線までは行けるのではないか」と語る。今回下方修正の要因となった公共工事の先送りについても、「今年末から来年には回復するのではないか」と見ている。

これから、首都圏での五輪関連工事の本格化や営業拠点増設の効果、さらにはニシケン買収で対応力が増した熊本地震の復旧復興需要の取り込みなども、カナモトの業績回復のカギを握ることになりそうだ。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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