鹿島が"出遅れ"からトップへの大逆転劇 スーパーゼネコンの熾烈な首位争いが続く

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鹿島は、リニア中央新幹線で最難関工区と言われる南アルプストンネル長野工区を受注(撮影:尾形文繁)

ゼネコン業界の雄、鹿島の復活が見えてきた--。

3月22日、2016年3月期の業績予想を上方修正した。売上高は前期と比べほぼ横ばいだが、営業利益は8倍以上の1070億円という驚異的な内容だ。従来予想の570億円に比べ、2倍近い額への上方修正となる。純利益も前期比4.6倍の700億円に達し、バブル期以来、24年ぶりに過去最高を更新する。配当も前期比3円増の年間8円へ引き上げた。1000億円超の営業利益は現時点で業界トップに躍り出た。

2015年3月期決算では、多くのゼネコンが好業績を叩きだす中、上場しているスーパーゼネコン4社(鹿島、大成建設、大林組、清水建設)の中で唯一の減益となり、4社中最下位に沈んだ鹿島。単体ベースでは、180億円の営業赤字に転落した。東日本大震災からの復興需要や都心の再開発、東京オリンピックの関連工事などが重なり、建設業界が好決算に沸く一方で、一歩出遅れた印象は強かった。

出遅れた主因は、東日本大震災前後に安値で受注した首都圏の大型工事。当時の建設不況がしばらく続くと見込んで数多くの工事を低採算で受注したものの、その後の復興需要に伴い、労務費や資材の価格はハネ上がった。想定していた採算が悪化することとなり、建築部門で完成工事総利益率(粗利率)の低下を招く結果に。それに加えて、海外での大型不採算工事の損失引き当てを計上したことも前期の業績悪化に拍車を掛けた。

現場作業を減らして効率化

こうした不採算案件の一掃に追われる中、同社は昨年5月に新たな中期経営計画を発表。今期と来期の2年間を、国内建設事業の再生・強化に向けた取り組みを集中的に実施する期間に位置付けた。6月に就任した押味至一新社長の下、効率的な人材配置やプレキャスト化で現場作業を減らすなどの対策を推し進めた。

外部環境の変化も鹿島の復活を急速に後押しした。復興需要や再開発ラッシュで手持ち案件が増大し、ゼネコンがより採算性の高い工事を受注することができる状況に好転。さらに、今期は労務費や資材費の上昇が一服したことも追い風となった。これらの結果、建築・土木ともに粗利率は前期と比べ大幅に改善。中期計画で掲げた最終年度の利益目標を1年目で早々に達成する見通しとなった。

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