鹿島が"出遅れ"からトップへの大逆転劇 スーパーゼネコンの熾烈な首位争いが続く

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会社側は「一時的にすべてが良いベクトルに向かい、(業績回復は)想定していたよりも早いスピードとなった」(広報担当者)と分析するが、2017年3月期については「これから労務費や資材費が変動する可能性もある。楽観視はできない」(同)と慎重だ。

とはいえ、国内外での不採算工事がほぼ片づき、手持ちの多くが採算性の高い工事にシフトしたこともあり、今期ほどの大幅増益は見込めなくても、来期も増益が続く可能性は大きい。東洋経済では、2017年3月期の営業利益を1100億円(2016年3月期比2.8%増)、純利益を720億円(同2.8%増)と、連続して最高益を更新すると見込む。

首位の座をいつまで保てるか

2015年に就任した押味社長の下、国内建設事業の再生・強化が進む(撮影:梅谷秀司)

さらに鹿島が施工する都心の再開発の多くが2~3年後にピークを迎える。飛島建設などとJV受注したリニア中央新幹線の南アルプストンネル長野工区は今夏にも着工する予定で、工期は10年に及ぶ大型案件。今後しばらくは好業績が続くものと予想される。

ただ、受注環境の改善は鹿島に限らずほとんどのゼネコンにとっても追い風だ。鹿島以外の上場スーパーゼネコン3社も今期は過去最高益を更新する見通しで、4月中に業績予想を上方修正する可能性もある。そうなれば営業利益トップの座をライバルへ明け渡すこともありうる。

建設現場では深刻な人手不足と高齢化という難題も立ちはだかる。若手人材が確保できないまま技能労働者が退職していく事態が進めば、さらなる労務単価の上昇は避けられない。

業界共通の課題を抱える中で、2年目を迎える押味社長は、その手腕をどこまで発揮できるか。ゼネコントップ確保への道は安泰ではない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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