あの弁護士ドラマはどこまで「リアル」なのか

「現実にはありえない場面」を成立させる秘策

このドラマの「法律監修」を担当しているのは、中小企業対象の企業法務と一般民事がフィールドの犀川治弁護士、元検事の松井正弘弁護士、それにTBSの企業内弁護士である國松崇弁護士の3人。このほか、刑事事件の第一人者である高野隆弁護士とその事務所の弁護士2人、それに国内最大規模の法律事務所である西村あさひ法律事務所が「協力」に名を連ねる。

「協力」はプロデューサーや出演者に法曹界の常識や法廷ルール、人物像のヒントになりそうな実在の弁護士の属性などをレクチャーする役割である。確かに斑目事務所の内装は西村あさひの内装にそっくりだし、佐田弁護士のキャラクターは、豪華なオフィスの高額な賃料を稼ぐことを宿命付けられている、現実の大事務所のパートナー弁護士そのものだ。

監修の3人のうち、犀川、松井両弁護士はシナリオチェックのみだが、國松弁護士はシナリオチェックだけでなく、法律構成としてストーリーに矛盾がないかの確認、さらには撮影にも立ち合い、法廷や接見の場面での人の立ち位置、作法、法律用語のイントネーションの指導、それに小道具の作成にまで関与している。

裁判所に提出する書面の体裁も、画面には一瞬しか映らなくても、「最近は録画をしてストップモーションでチェックする視聴者は珍しくないので、ホンモノそっくりに作り込んだ」(國松弁護士)という。

弁護士によって、関与の度合いも仕事の精度もさまざま

法廷シーンには「ドラマならでは」な立ち居振る舞いがたびたび登場する

ドラマは実際の法制度とかけ離れすぎてもダメだが、エンターテイメント性も重要だ。「登場人物のキャラクターやストーリーを理解した上で、演出上の意図との折り合いを付けて代案を提示している」(同)という。

子どもの頃から映画やドラマが大好きで、刑事もの、法廷ものを観て司法の世界を目指した山脇康嗣弁護士は、「闇金ウシジマくん」など多数の法律監修を手掛けた経験を持つ。

山脇弁護士によれば、ドラマの法律監修の仕事は、シナリオチェックだけの場合もあれば、プロットの段階から関与し、企画出しやストーリーの前提となる条件設定などから意見を出す場合もある。フル関与の作品では、シナリオのリーガルチェックはもちろん、小道具の作成、撮影現場の立会い、番組ホームページの特設コーナーの監修、視聴者からの問い合わせへの対応検討、メディアの取材対応まで手掛けることがあるという。

「テロップに出る法律家が監修に耐える専門性を持っているかだけでなく、肩書きも興味津々に見ている。法律監修だけでなくアドバイザー、取材協力、指導などいろいろ。関与の度合いも仕事の精度もさまざまで、まさに玉石混淆。その意味で、高野隆弁護士は誰もが認める刑事弁護の第一人者。それだけで制作サイドの本気度がわかる」(山脇弁護士)

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