あの弁護士ドラマはどこまで「リアル」なのか 「現実にはありえない場面」を成立させる秘策

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ドラマ『99.9』刑事専門ルーム。多くの弁護士への取材をもとに、凝りに凝って作り込んだセットだ

今年の春ドラマが今週、順次最終回を迎える。今クールは弁護士を主人公に据えた作品が2作品も登場した。1つはTBS日曜夜9時枠の『99.9-刑事専門弁護士-』、もう1つはテレビ朝日木曜夜9時枠の『グッドパートナー-無敵の弁護士-』である。

『99.9』は人気アイドルグループ・嵐の松本潤演じる刑事専門弁護士・深山大翔が主人公。舞台は国内4大法律事務所の1つで、所属弁護士総数300人の大事務所・斑目法律事務所。同事務所が新設した刑事事件専門チームにスカウトされ、手段を選ばず巨額の報酬を稼ぐ、トップビジネスロイヤー・佐田篤弘(香川照之)とタッグを組んで難事件を解決していくというストーリーになっている。

法廷は真実のみを追究する場ではない

視聴率は9回終了時点で最低が13.3%、最高が19.1%、平均は16.9%をマーク(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。今クールの連ドラのなかでは、断トツの成績だ。

純然たる秘書とは一線を画す、法律事務の専門職である「パラリーガル」という固有名詞が使われている点はかなり目新しいが、最も特徴的なのは、「法廷は必ずしも真実のみを追究する場ではない」という法曹界の実態を、主に佐田弁護士を通じ、あえて明確に打ち出すことを試みた点、そして、深山はその実態に反し、自ら徹底的に真実を追究する弁護士として描かれている点だろう。

過去の日本の弁護士ドラマの大半は刑事弁護がテーマで、弁護士自身が手品のように証拠を探し出し、被告人を無罪に導く。現実にはそこまで熱心に自ら証拠探しをする弁護士は多くはないので、そんな真実を目の当たりにしたことで弁護士に失望する人もいる。

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