日経平均1万6000円割れでも強気になれない 「日本株は割安」説に惑わされないほうがいい

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しかし、筆者は、現時点で公表されている株価収益率(PER)から算出されるEPSには信憑性がなく、現時点でPERを基準に株価水準を判断することはできないと考えている。

為替の採算レートも不透明であり、さらにすでにドル円が110円を割り込んでいることを考慮すれば、このまま為替がこの水準を回復できずに今年度を終えるようだと、輸出企業を中心に、全体では業績見通しの下方修正は不可避であろう。

「日経平均大幅上昇の可能性」はほとんどない

筆者は、110円を大幅に上回る円安水準での推移は想定していないので、株価、特に日経平均株価が大幅に上昇する可能性はほとんどないとみている。

「最近はドル円と日経平均株価の連動性が薄れており、円高の影響は軽微」との見方も一部にあるようだが、これはむしろ、外国人投資家が日本株から撤退したことが理由である可能性が高い。そうであれば、日本株は買い手不在ということになり、さらに上昇しづらい環境に追い込まれることになる。

一方、長期金利が史上最低を更新するなど、金利の低下が鮮明である。日本だけでなく、世界の主要国の国債の半分以上がすでにマイナスの利回りになっているという。まさに「運用難」である。

この状況は、日本株にもネガティブなインパクトを与えている。筆者は多くの市場関係者がウォッチするのと同様、日本株と米国債利回りとの関係に注意を払っている。この2つの関係の重要性はよく知られたところ(米国債の利回りが低下すると円高傾向になり日本株が上昇しにくくなる)だが、米国債利回りはいまや大幅低下傾向にある。

日欧の国債利回りがマイナスに沈む中、米国債を買う動きが一段と強まっている。その結果、米国債利回りは低下傾向が鮮明(10年債の利回りは1.62%)だ。これでは日本株は一部の銘柄を除いて、全体的には上昇するのが難しい。

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