私がやっぱり日本株に「強気」になれない理由 ドル円だけでなく人民元から目を離すな

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米ドルに対してジワジワと下がる人民元。これは何を意味するのか(写真:Imaginechina/アフロ)

FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長もかなり当惑したのだろう。6日の講演(ペンシルバニア州)では雇用情勢については「失望した」と語ったが、5月の米雇用統計はまさに「衝撃の数値」だった。

今月14~15日の米利上げは、ほぼなくなった

非農業部門の雇用者数が前月比でわずか3万8000人の増加にとどまった。また3月と4月の数値も下方修正されるなど、全体的に雇用情勢はピーク感が出始めていることは確かであろう。しかし、この数値だけをもって、米国の雇用情勢が悪化したと論じるのは危険だ。つまり、これ以上の雇用創出ができないことも示している可能性もあるからだ。いずれにしても、金融当局者から見れば、非常に悩ましい内容だったといえるだろう。

これまでの地区連銀総裁などの発言を背景に、米国の利上げは早ければ6月、遅くとも7月が確実視されていた。5月27日のイエレン議長もその可能性を示唆する発言を行っており、市場では少なくとも7月までの利上げの可能性は十分にあるとの判断になった。しかし、この見方を覆すほどの衝撃的な内容だったのが、今回の米雇用統計である。

現時点で、市場が予想する6月利上げ(14~15日のFOMC=米公開市場委員会)の可能性はほぼゼロである。6月23日には英国のEU離脱に関する国民投票がある。離脱賛成派が急激に増える中、現状を考慮すれば、6月に利上げを実施し、市場を混乱に陥れる必要はない。そうなると、7月26・27日開催のFOMC以降での利上げの可能性を探ることになるが、雇用情勢だけで利上げの判断が行われるわけではないことを理解しておく必要があるだろう。

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