私がやっぱり日本株に「強気」になれない理由 ドル円だけでなく人民元から目を離すな

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FRBの政策を決めるうえで重要なポイントは、従来であれば米国内の経済環境であったといえる。しかし、昨年夏のチャイナショックを前後して、FRBは海外情勢も考慮したうえで金融政策を決定するとの方針に事実上大きく変更した。

しかし、海外情勢を考慮する立場にあるのは、国際会議などに参加するイエレン議長やフィッシャー副総裁、あとはダドリーNY連銀総裁であろう。したがって、これらのFRB関係者とそれ以外の国内情勢重視の地区連銀総裁の発言を分けて考える必要がある。

地区連銀総裁たちの発言が強気に聞こえるのは、それぞれの情勢を考慮したものである。そう考えると、それぞれの地域は利上げすべきとの判断に行きつく状況にある可能性が高い。その背景には住宅関連指標や商業用不動産などの状況があるものと思われる。一方、イエレン議長などは、国際情勢を十分に考慮すべき立場にあり、国内情勢だけで安易に利上げを口にできない。

「エネルギーを貯めこむ」米国のマーケット

この「二つのグループの綱引き」が最終的にはFOMCでの金融政策の決定につながるのだが、最終的にはイエレン議長の発言に集約されていくことになる。

いまは彼女の発言に含まれる今後のFRBの政策の方向性に注目するしかない。とは言え、FRBがいつ利上げをするかについて、イエレン議長の発言や様々な経済指標を見ながら憶測し、一喜一憂することはあまり賢明ではない。そもそも、そのような予測ができるはずもなく、また見通しが正しかったとしても、市場が思うように動くとは限らないからだ。

その一方で、将来の不透明感を示すかのように、米国株は横ばいでの推移がやや長引いている印象だ。いずれ市場を動かす材料が飛び出し、それにつれる形で大きく変動するのだろうが、いまはその材料を待っている状況である。高止まりしながら、これだけ「レンジ相場」で推移すれば、次の動きは相当大きなものになるだろう。

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