私がやっぱり日本株に「強気」になれない理由 ドル円だけでなく人民元から目を離すな

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もし、米国の外に材料を求めるのであれば、中国の人民元と製造業PMIの動向に目を向けるのがよい。これらは市場関係者であれば、誰もが注意してみている指標だが、この指標に変化がみられる。

この二つの指標は米国株に少なからず影響を与えていることが明確であり、さらに指標としても先行性がある。特に最近では、人民元の下落は日米株価の急落からかなり早い段階で確認されていた。現在、その人民元が下落基調に入っている。この流れが変わらないようだと、株式市場が調整を迎える可能性が高まりそうである。またPMIも節目の50を上回っているとはいえ、低迷が顕著である。これが50を割り込むような状況になれば、株価の調整は不可避になるものと思われる。

また、現在の世界の株式市場の動きをみると、ドル高は株安、ドル安は株高になる傾向がある。今後、イエレン議長の発言が、近い将来の利上げを示唆するものであれば、ドル高につながることで、株式市場に下落圧力がかかる可能性がある。

反発の機会を失ってしまった日本株

その場合、日本株は皮肉にも円高にならなくても米国市場に呼応して株安となる可能性がある。しかし、イエレン議長の発言がハト派的なものになり、ドル円が下落して105円半ばという年初来安値を割り込むような事態になれば、それはそれで日本株には厳しい状況になる。

目先の日本株は先週の急落を受けた買戻しが先行するかもしれないが、為替はその前の重要な節目であった108円台半ばを回復するのもかなりハードルが高くなっている。財政出動のタイミングもかなり先になるもようであり、日本株は反発のきっかけを失っている。

消費増税再延期の決定プロセスにおける安倍首相の言動の不透明さから、外国人投資家は日本株を見限ったようにもみえる。外国人投資家不在の日本株式市場の浮揚がますます厳しい状況になったように感じるのは、筆者だけではないはずだ。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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