自民圧勝で急騰の土木系中堅、増資で小ワザ

狙いは道路橋新製品PR?

エスイーは09年と10年に、民間のビル建築などに使う建築資材の製造販売会社2社を買収。トップライン(売り上げ)の引き上げを図っているが、公共事業費削減の影響はいかんともしがたく、利益面では漸減を余儀なくされている。社会インフラの新設も一巡し、大規模な受注が見込めない中、昨年立ち上げた事業が補修・補強事業だ。

老朽化著しい社会インフラを気前よく建て替える予算はもはや各自治体にはないが、その分、補修・補強の潜在需要は多い。診断を行って補修・補強が必要な箇所、必要な程度を割り出し、提案した補修計画に従って、今年3月に買収した子会社で施工まで請け負う一貫サービスが同社の“売り”だ。

図らずも今回の笹子トンネルの事故で社会インフラの老朽化問題にスポットが当たり、自民党の政権復帰もあって、同社の補修・補強事業の成長性への期待が高まったということだろう。

実質「株式分割」の株主割当増資を実施

これだけ売買高が膨らんでいながら、見掛け上は株価が1カ月前に比べ2割も下がっているのは、12月25日から申し込み受付の始まる「株主割当増資」の権利付き最終売買日が11月21日だったからだ。エスイーはこの株主割当増資発表に併せて配当予想も修正。従来予想の20円を15円にしたが、発行済み株式総数が倍増する前提での15円配なので、従来予想比では実質50%の増額となる。

今回実施される株主割当増資では、所有株式1に対し1株が割り当てられる。このため、12月17日終値は413円だが、1カ月前と比較すると実質5割強の上昇率になる。

割当価格は1株当たり25円。この株主割当増資実施を公表する直前の売買成立日である10月18日の同社株の終値は420円なので、ディスカウント率は実に94%。株主全員が申し込む権利を持つので、これだけ安い割当価格でも有利発行の問題は発生しない。

ただ、会社側の手取額はというと、株主全員が申し込んでもわずか1億8589万円。申込期間は12月25日~13年1月18日で、この間に割り当てを受けた株主が申し込みをせずに失権したら、手取額はさらに減る。今年9月末時点で36億円もの現預金を持っているので、今回の株主割当増資が資金調達を目的としたものではないことは明らかだ。

「弊社の株主は長期間保有してくれている株主が多いが、長年株価で報いることができなかった。今回の増資は株主へのお礼のようなもの」と森元社長は話すが、25円の払い込みなら実質、株式分割である。分割のほうが株主にとってもわかりやすい。

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