土木系繁忙、東北と関東中心に仕事量増える 【産業天気図・建設】
建設業界の景況感は、過去に受注した不採算案件に苦しむ企業はあるものの、土木系中心に繁忙で、しばらくは「晴れ」が続きそうだ。
いよいよ除染が始まり、がれき処理も佳境に入っている。2011年の年末頃には、発注が集中しすぎて地元優先の前提では処理能力を超えて対応できない状況に陥った。そのうえ労務費など費用が上昇を続けたために、採算が合わないとして発注事業の不成立が50%を越える状況が続いた。
今年に入って、被災3県に限り、地元建設業者と人員調達能力などに長ける中央のゼネコンが組めるようにし、監理技術者の兼務を認める、などとした復興JVの仕組みを導入したものの、技術者、労務者ともに人手不足は深刻で、発注の不成立は相変わらず高い比率で続いている。
ただ、大手ゼネコンのなかでも収益にばらつきがでている。スーパーゼネコンの清水建設や準大手の戸田建設など、建築を得意とする数社で収益が厳しかったため、土木勝ち組・建築負け組、のような図式で説明されることも多い。
だが、実際はそう単純でもない。上期減益、通期も減額減益予想となった主な要因は、08年のリーマンショック後の景気低迷時に受注した大口案件の採算悪化だ。当時、競合が激しく受注時採算が赤字とは言わないまでもかなり厳しくなっていたが、当時はデフレ傾向にあったため、その後の資材購買や労務調達費の見通しが甘くなったためとみられる。
需要高水準だが、コスト上昇も
今後の見通しは、需要は引き続き復興エリアを中心に高水準が続き、関東圏ではマンション建築需要が増えており、関西エリアでの耐震需要などもまだまだ低水準とはいえ少しずつ出始めている。
12月2日に起きた中央自動車道の笹子トンネル天井板崩落事故を契機に、トンネルや橋梁など、高度成長期に敷設されたインフラの老朽化対策需要は喫緊の課題という認識が高まってくれば、インフラ補修の需要も徐々に顕在化してこよう。同時に人手不足は一層深刻になるだろう。とくに民間需要においては、受注価格の上限を抑えられている上に鉄筋工、型枠工など専門業務に従事する人員の確保が難しく、労務費の上昇による建設会社の採算圧迫は続くとみられる。
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