自民圧勝で急騰の土木系中堅、増資で小ワザ 狙いは道路橋新製品PR?
12月2日朝発生の笹子トンネル事故で一気に盛り上がった公共インフラ関連銘柄の上げ相場が、総選挙での自由民主党圧勝で過熱感を増している。
そうした中で出来高が急増しているのが、落橋防止装置など建設資機材製造・販売のエスイーだ。2012年3月期の年商は154億円と、ジャスダック上場の中小銘柄ながら、笹子トンネル事故後は12月3~5日の3日間で売買高が58万7000株にも上り、12月17日の取引終了時点で今年4月からの累計売買高は115万4000株と、すでに前年度1年分(11年4月~12年3月)の売買高を大きく上回っている。
リーマンショック以降の2年間、エスイーの年間売買高は40万~50万株前後で推移。昨年は前年の倍に当たる88万株まで増えたが、それでも発行済み株式総数の1割をようやく超えた程度。浮動株割合が3割を超えている銘柄としてはかなり低く、PBR(株価純資産倍率)も1倍割れが恒常化している。
インフラ新設は期待薄でも、補修・補強に活路
そのエスイーが今回にわかに注目を集めたのは、同社が道路や橋など社会インフラの補修・補強事業を強化しているためだ。同社の主力事業は、地滑り防止用や護岸用のコンクリートに埋め込んで使用する「アンカー」と呼ばれるボルトや、地震で橋ゲタが落下しないように補強する落橋防止装置、それに斜張橋に使うケーブルなどの製造販売。このほか建設コンサルタント業務も手掛けており、海外の公共インフラ工事においても、官民共同事業の形で多数手掛けている。
同社は1981年12月、工学博士でもある現社長の森元峯夫氏が48歳のときに設立した。フランスのS.E.E.E.社(Societe d' Etudes et Equipments d' Enterprises 、現アンジェロップ社)が開発したPC定着工法を、建設資機材製造販売の新構造技術株式会社が67年に導入。森元氏は翌68年に同社に入社し、81年1月に社長就任。同年12月にSEEE工法向けの資機材を扱うSEEE事業部門を切り出す形で、エスイーを設立し、自ら社長に就任した。エスイーという社名はSEEE工法に由来する。
コンクリートは押される力には強いが引っ張られる力には弱い。ひび割れは引っ張られることで発生するので、鉄筋や鋼材をコンクリートの中に仕込んで強度を上げる工法が一般的には採られている。それがPC(プレストレストコンクリート)工法であり、SEEE工法はPC工法の1つだ。
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