巨人・電通が抱くO2Oの野望(下) O2Oで進化するマス広告

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クーポンをもらえる時間を番組終了後10分までなどにしておくことで、録画ではなく生で視聴した人だけに特典を与えることができる。ここにももちろん、Passbookのクーポンを絡めるのが電通の戦略だ。

車やカーナビを活用してO2Oを実現するのがC2O2O(カー・ツー・オンライン・ツー・オフライン)だ。たとえば車で旅行中にカーナビの画面に周辺のおすすめ店舗情報が自動的に配信されたり、自分のスマートフォンと連動してその店舗のクーポンなどが取得できたりする。

電通の吉羽氏

吉羽氏は、未来のO2Oについて、プラスとマイナスの側面を大局的にとらえている。

「オンラインとオフラインの境目はより少なくなる。今までアナログでのコミュニケーションをしていたものが、どんどんデジタル化していくのは間違いない。すべてのコミュニケーションがリアルの現場も含めて、一直線上に乗っかってくる。人の行動を記録できる世界になってくる。

ただ一方で、自分の行動を記録されたくないと思っている消費者も大勢いる。技術的には可能だが、どこまでが“人に受け入れられるか”という視点でサービスを作っていかないと、技術倒れになってしまうだろう」

吉羽氏の指摘は重要だ。個の領域がデジタル化の流れで溶けていくとき、人はどこまで認めるのか。許せるのか。

技術と個の葛藤の中で、O2Oは進化していくのだろう。

(撮影:今井康一)

 

 

 

 

 

 

 

過去の連載が本になりました。『O2O新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社)として発売中。Kindle版などの電子書籍も展開開始。

 

松浦 由美子 ITアナリスト

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まつうら ゆみこ / Yumiko Matsuura

ITアナリスト。

ITエンジニアとして半導体ウェハ検査装置の開発や原子力・ETCなどのインフラ制御系システムの開発、大手印刷会社のIT技術センター部門でセキュリティ関連のサービスや画像情報データベース、地図情報サービスなどのWeb開発に携わる。現在は、「ITからリアル世界への翻訳者」として、テクニカルな話題を一般読者にわかりやすく解説することをモットーに活動中。

著書に『O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社、 2012.10)、『O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!- ネットとリアル店舗連携の最前線』(平凡社新書、2014.1)、東洋経済オンラインにて「O2O ビジネス最前線」を連載中。

テレビのニュース番組やラジオ、講演など「O2O」に関する出演多数。
連絡先:松浦由美子公式ページ

 

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