「原発事故収束には国の負担が必要だ」 東京電力・廣瀬社長に聞く
福島県議会や一部の県内市町村議会で廃止を要望する決議がされていることは十分認識している。一方で、原子力はエネルギー政策の根幹を成すものであり、国と二人三脚で国策として進めてきたものであるため、そうした認識も踏まえつつ、これから判断していきたい。
ただ、仮にいま廃炉と宣言したとしても、すぐにその作業に入れるわけではなく、安全な状況にしておかなくてはならないので、廃炉の結論にかかわらず、その作業を粛々と進めているところだ。
原子力を含め多くのオプションを持つことが必要
――先日も三陸沖を震源とする震度5弱の余震があったが、事故後の福島第一原発の安全性に対する懸念は強い。特に、1500体以上の燃料が入った4号機の使用済み燃料プールが外気にさらされた状態であることの危険性を指摘する向きが多い。
4号機は外壁が損傷し、見た目も非常に悪いことから皆様にご心配をかけている。われわれは一方でしっかりと補強とチェックをしており、前回と同じくらいの地震が発生しても健全性を保てると確認されている。燃料プールから燃料を取り出すべく来年中には作業に着手する計画だが、安心安全のためにできるだけ工程を早めたいと考えている。
――福島第一原発では偽装請負の状態で下請け会社に作業させ、鉛カバーを使った「被曝隠し」が行われていたことが発覚し、厚生労働省が是正指導する方針とされる。なぜ、こうした実態を放置していたのか。
ほめられた話ではないが、請負の構造が多重で複雑になっている問題がもともとあった。したがって、作業員の管理が弱かった面があるし、発注元としてのわれわれの責任は感じている。まずは管理体制をしっかり見直していく。
ただ、作業員のAPD(警報付き線量計)はご自分の健康を守るためのものであり、(鉛カバーで覆うなど)線量を偽るということを予見して対策を打つことは難しかった。今後は、カバーをしていたら外からわかるようにするといった対策を打つなど、作業員の線量管理をしっかりやっていきたい。
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