「原発事故収束には国の負担が必要だ」

東京電力・廣瀬社長に聞く

――事故後、原発運営に対する考え方は根本的に変わったのか、変わってないのか。

多様なエネルギーを手中に収めておくことは非常に大事なことだ。「原発はなし」と選択肢から外すことは基本的に賢いやり方だとは思わない。立地やウエートについてはいろいろ考える余地はあるが、それをある程度、融通無碍にして、できるだけ多くのオプションを持っておくことは必要だろう。

もちろん、リスクについてはわれわれもいちばん感じているところだが、リスクが原子力の最大のデメリットであるならば、それを最大限遮断することによってカバーできるかもしれない。

法的整理ですべてが解決できるわけではない

――11月7日に発表した「再生への経営方針」の中で東電は、福島原発事故の賠償や除染、廃炉費用などが現行の原子力損害賠償支援機構法の枠組みで想定された5兆円を大幅に突破し、10兆円を超えると示唆した。そのうえで、この巨額コストは東電自身の負担の限度を超えており、国による新たな支援の枠組みを早急に検討することを求めた。そうしたコストの妥当性や国との負担の線引きをどう考えているのか。

まだ除染のやり方も確立されておらず、中間貯蔵施設をどうするかも決まっていないため、コストを正確に見積もることは難しい。ただ一方で、どこまで膨らむかもわからない青天井の状態。もとより除染を規定している特別措置法でも国が必要な処置を取ると書いてあるし、原子力賠償法でもそうなっている。また、原賠法や機構法でも1年ないしは2年以内に見直すとなっており、すでに1年半が経とうとしている。

われわれは負担の線引きをどうしてくれと言っているのではなく、そういうことが議論されていないのが問題だと考えている。国が必要な措置を取ると法律に書いてあるが、その措置とはいったい何なのかがわからないままの状態だ。当社としても、どこまでの負担を背負って事業を行っていくのか不安なところはある。経営側としても、今後の負担がどうで、どういう対策を取っていくと社員に具体的に示したいが、今はまったくできない状態。社員の退職も増え、取引先の金融機関も相当な不安を抱いている。議論の帰結が5年後か10年後かではなく、議論自体が始まっていないことが問題であり、まずは議論を始めてもらいたいということだ。

確かに、5月に「総合特別事業計画」を策定してから半年しか経っていないが、社外取締役も入って新体制になったことや、資金繰りや社員の流出加速などの問題もあって、この時期に改めて会社としての方針を明確にしたかった。

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