伊藤園、42年ぶりに緑茶工場を新設する理由 "独り勝ち"状況が一服した今、あえて新工場

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とはいえ、競合他社の追い上げも激しい。

キリンビバレッジは、3月末に「生茶」の味わいとデザインを一新。4月末までの出荷数は前年比50%増と急成長している。

サントリー食品インターナショナルも昨2015年、四季ごとに味わいが変わる「伊右衛門」を投入。2016年1月から4月までの販売数量は前年比17%増となるなど好調だ。

コカ・コーラも「綾鷹」の派生品である「にごりほのか」を2016年3月に発売。苦みや渋みを嫌う消費者の囲い込みを図る。

伊藤園の予想では、2016年の緑茶飲料市場は前年比4%増の4300億円へ拡大するものの、ライバルメーカーの追撃もあり、伊藤園のシェアは2015年と同じ35%にとどまる。2017年に茶葉の生産能力を1.5倍へ引き上げることで、いち早くシェアを40%近くへ復帰させることを目指す。

「世界のティーカンパニー」を目指す

もう一つの課題は海外展開だ。伊藤園は国内での稼ぎを原資に、米国や中国で、緑茶飲料やティーバッグの製造販売を行っている。

「世界のティーカンパニー」を目標に掲げるが、2015年4月期の海外売上高比率はたったの3.5%。2015年2月にコーヒー豆の栽培・販売を行う米国のDLTC社を買収し、2016年4月期は一気に7.8%まで高めた。

DTLC社の量販店向け販路を生かし、米国で伊藤園ブランド製品の販売を伸ばすとともに、中国や東南アジアでも現地の志向にあった商品を投入することで、海外売上高比率10%以上を目指す。

42年ぶりの新工場建設で“攻めの経営”を加速する伊藤園の挑戦が続く。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(マーケティング担当、編集者)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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