キリン株主総会、上場来初の赤字も「閑古鳥」 お土産廃止で、出席者は4分の1に

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昨年は4000人出席のメガ総会だったが、今年は「お土産」ナシで激減

ブラジル事業での約1100億円にのぼる減損損失により、2015年12月期の業績が上場来初の最終赤字に転落したキリンホールディングス(HD)。3月30日午前に開かれた株主総会には、業績に不満を持った株主が殺到するものと思われた。

ところが、ふたを開けてみると、出席者数は2015年の4059名を大きく下回る957名。なんと4分の1に激減したのだ。2015年は単元株式数を1000株から100株に変更し、株主がキリンの株式を購入しやすくなってから1回目の総会であるために、とりわけ盛況だったという事情はある。それでも、2014年の1815名にすら届かなかったのはナゼか。

「他の企業の総会と重なったということもあるが、一番大きいのは(今年から)お土産を廃止したことではないか」と藤原哲也・コーポレートコミュニケーション部部長。

キリンは2015年まで、ビールの主力商品「一番搾り」やグループ会社のバタークッキーなど、合計約1500円相当の自社商品を、総会の出席者に配っていた。廃止の理由は「遠方に住んでいるなどの事情で総会に出席できない株主との公平性を勘案した」としている。

株主総会のお土産について、企業の考え方はさまざまだ。今年もお土産を配った、ある大手食品メーカーは、「お車代として配っている」とする。「総会を午後からの開始とすることで、遠方の株主も出席しやすいように配慮している」という企業もある。

キリンの株主からは「是非、お土産を復活させて欲しい」という声があがった。出席者数を左右するだけに、来年以降の対応に注目だ。

出席した株主が大きな関心を寄せていたのは、やはり、ブラジル事業だ。1時間に及んだ株主と経営陣とのやりとりの内、主なものは以下の通り。

ブラジルは経済悪化に競争も激化

――ブラジル事業で計上した約1100億円の減損の内訳と、減損に至った経緯は。

伊藤彰浩・取締役常務執行役員(CFO):減損の内訳は、のれんが680億円、ブランドが270億円、残りはその他の有形・無形固定資産だ。毎年、減損テストを実施しており、2014年はクリアした。だが、2015年のテストでは巨額の減損が出た。理由は競争環境の激化と、(現地通貨)レアル安による原材料価格の高騰。そして、2015年後半から利益水準が落ち込んだことだ。そこで、保守的な利益計画に基づいて減損テストを実施した。

――のれんやブランドについて、初心者向けにもう少しわかりやすく説明して欲しい。

伊藤CFO:M&Aを実施するとき、買収価格のうち、買収先の純資産額を上回る部分をのれんとして処理する。その後、のれんをブランドとその他の有形・無形固定資産に分類し直す。ブラジル事業の場合は、「スキン」という主力のビールブランドが、将来どれだけの利益を生み出すのかという価値を算出し直して、ブランド代とした。

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