伊藤園、42年ぶりに緑茶工場を新設する理由 "独り勝ち"状況が一服した今、あえて新工場
新工場の稼働予定は8月末。来2017年には生産能力が1.5倍になるという。土地代を含めた投資総額は約26億円だ。
これまで手薄だった、西日本における販売を強化する。神戸は茶葉の主要産地である九州から近く、輸送時間を短縮することで、物流コストも削減できる。
緑茶市場は15年で倍増
肝心の緑茶飲料市場は順調に伸びている。人口減少に伴い、国内の飲料市場全体が横ばい程度で推移する中、緑茶飲料の市場規模は2000年の2171億円から2015年4150億円へ拡大。15年間でおよそ2倍となった(伊藤園調べ)。消費者の健康志向が追い風となっている。
競合各社の攻勢もあり、伊藤園のシェアは2010年の39%から2015年35%へ落ち、”独り勝ち”状況は一服したものの、トップの座は守り続けている。2016年4月期の伊藤園の緑茶飲料売上高は前年同期比約4%増で、過去最高を更新した。
2016年4月期は伊藤園にとって、大きな転換点だった。その前の2015年4月期に、消費税増税や需要期である夏場の天候不順にうまく対応できず、営業利益は大幅減益。その反省のもと、「”何がなくても売り上げ”という売り上げ重視の体質を改め、儲からない売り上げは追い求めないようにした」(本庄大介社長)。
収益性を高めるため特に注力したのが、「お~いお茶」など好採算の主力ブランドに経営資源を集中させることだ。
季節に合わせて桜や紅葉をイメージしたパッケージデザインの「お~いお茶」を投入し、テレビコマーシャルを積極化。スーパーを中心に売り上げを大きく伸ばした。
特定保健用食品の「カテキン緑茶」や機能性表示食品の「日本の健康 玄米茶」など高価格帯品も好調だ。「”伊藤園=健康”というイメージが根付いてきているからか、広告や販売促進を減らしても売れている」(本庄社長)。
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