上を目指すならば「キャラ被り」を回避しよう 自分だけの「型」ができれば強くなる!

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石井:東大出身ということとは無関係に、クオリティで勝負したい。香川照之さんみたいになりたい。それが超理想です。

塩野:そうなんですね。私は誤解していました。本とかメディアを拝見すると東大卒、マッキンゼー出身ということが必ず前面に出ていますので。著書を拝読するかぎり、まさにご自分が回避しようとしていたところの人に見えてしまいます。

石井:そうですか……。そうなんですね。自分の中では線引きができていたつもりなんです。ネタでも経歴のことは言わないですし、ブログ、SNSとかのプロフィールにも、もう東大とかマッキンゼーとかいっさい書いていません。

塩野:でも人々はウィキペディアを見ちゃいますからね。でも今日のお話を聞くと、かなり印象が変わりました。ネタで行くんだ、と。だったら、もう本当に「なんじゃこりゃ? スゲエ」というネタをやっていただきたいですね。

最後に、ひとつ伺います。これはキャリアについて伺う対談なので、ひとつのお決まりで、今後の夢などを聞かせてほしいのですが。

東大の後輩が芸人を目指す、と言ったら?

石井てる美(いしい てるみ)/1983年、東京都出身。東京大学工学部卒業、同大学院修了。2008年、経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン入社。お笑い芸人になることを志し、2009年夏に退社。同年10月、芸能事務所ワタナベエンターテインメントのお笑い芸人養成所ワタナベコメディスクールに11期生として入学。現在、ワタナベエンターテインメント所属のお笑い芸人として活動中。TOEIC 990点、英検1級。著書に『私がマッキンゼーを辞めた理由―自分の人生を切り拓く決断力―』(角川書店)

石井:私、そんな人様に話せるような立派な目標を掲げてやっていないんです。なんか毎年「今年で辞めよう」と思っていて。年の終わりに続ける理由がなかったら辞めようって思っています、毎年。

仕事のありなしもすごい波があるんですよね。去年の秋、NHKの語学番組に出られることが決まったので、「じゃあ、また来年も頑張ろう」と思って今に至っています。誰かが求めてくれて番組に出させてもらえるのであれば、まだまだ頑張んなきゃって思えますよね。ちなみに、大きな夢としては「ハリウッド映画に5秒出る」というものがあるんですけどね。

塩野:もし、東大の後輩が「私も芸人になりたいのですが」と相談して来たら、どうアドバイスしますか。

石井:「芸人をやりたい」と思う人って、絶対、何かウズウズしたものがあるんだと思うんです。人生を終えるときに「ああ、死ってこんなあっけなくやってくるんだ」と感じると思うんです。そのときに「どうせだったら、もっと暴れとけばよかった」っていう後悔をしたくはないですよね。この世界は思っている以上に厳しいし、惨めだし、大変だけど、私は後悔をしていないどころか、挑戦して本当によかったと思っています。逆に、私は東大生ほどリスクを取るべきだとも思っているので、「大変だけどやってみたら?」と言いますね。

塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO

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しおの まこと / Makoto Shiono

国内外の企業への戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。各国でのデジタルテクノロジーと政府の動向について調査し、欧州、ロシアで企業投資を行う。著書に『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)、『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(KADOKAWA)等、多数。

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