100冊読んでも変われない人に欠けた視点 プロは読書をこうして武器にする!
私はベルリンの大学の試験を受けて哲学部に入学し、31歳のときに帰国した。何かをしなければ家賃も払えないことに気づき、文章を書き始めるのだが、このときに役立ったのは、学校で教えられたことではなく普段からしている勉強だった。
といっても、特別なものではない。私が実践している勉強とは、宗教書から世界文学、量子力学まで、かなり広い分野の本を読むことだ。ひとつ誤解のないよう申し上げるが、何もここで物書きに役立つ方法をお伝えしようというわけではない。このときに実感した、普段からの勉強が自分の可能性を広げたこと、そして自分からはじめる勉強は楽しみのひとつだと確信したことを伝えたいのだ。
また、人生にふと虚しさを感じたり、生きる意味を問い直したくなった時も、救ってくれるのは、知的で豊かな時間である。これは職業を問わず、人生を豊かにしたいと願う人すべてに共通することではないか。
このような思いを、ニーチェをはじめとした哲学者の例や、わたし自身のさまざまな体験も踏まえて、新著『知性だけが武器である』で、読むことからはじめる大人の勉強術として提案した。本稿では、勉強術を中心に自分の人生を豊かにするための3つのコツをお伝えしたいと思う。
多読を誇るより、1冊の精読を
使われている言語の意味を正しく理解できないような、そういうレベルのままでいくら多読しても、立ち上がってくるのは幻視でしかない。曖昧なままで100冊の本を読んでも、自分が知っている範囲のことしか理解ができないからだ。
また、そういうレベルの読書を繰り返すということは、おざなりで半端な知識を使って世界を曖昧に理解するだけで自分の人生は十分だと言っているようなものだ。せっかく貴重なおカネや時間を投資して読書に励んだとしても、残念ながら意味がない。
そこでわたしがすすめたいのは、1冊の書物を時間をかけて読む「精読」である。これが1冊の書物で自分を変える方法である。多読を誇るより、1冊の書物の精読を始めるべきである。
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