100冊読んでも変われない人に欠けた視点 プロは読書をこうして武器にする!

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精読とは、一字一句に目をとめ、そこに書かれていることをすべて知ろうとする読み方である。

たとえば、地名が出てきたら地図を開き、人名が出てきたら人名事典を開き、知らない道具や植物が出てきたら図鑑や百科事典にあたり、言い回しや用語の意味をひとつずつ調べて本の余白に書き込み、表現の意味を調べ、総じて文体すなわち文章の特徴をつかまえ、書かれていることの思想の中核を把握し、さらには時代背景まで調べる。

たとえば、オットー・ボルストの『中世ヨーロッパ生活誌』の冒頭はこのように精読する。

「現代的な――そして古代ギリシア・ローマ=ヘレニズム的な――意味での個人というものを中世は知らないのである。それは中世文学が悲劇を知らないで過ごしたということで十分わかることである。」(永野藤夫他訳、白水社)

ここで出てくる「ヘレニズム」「悲劇」についてよく知らなければ、何を意味するのかを一つずつ調べなければならない。これが精読の基本である。

1冊の精読だけで、今の自分を変える3つの力が手に入る

精読には時間がかかるし、面倒なことのように思えるかもしれない。それでもなお、精読は多くの利益を与えてくれる。まず、ひとつの物事にじっくりと取り組んで貫徹させる力が養える。これは今の自分を乗り越える大きな力となる。

次に、飛躍的に増える語彙力が、思考力を拡大させる要素となる。そして、覚える努力なしに深い知識と理解が自分の中に刻みこまれ、一般的な読み方をしている人よりも多くの正確な知識を短期間で吸収できるようになる。結果的に、速読の訓練など必要を感じなくなるほど、読むスピードが速くなる。

もうひとつ、精読のほかに大切な「読み方」のポイントもお教えしたい。ストーリーや逸話の流れを読んで追うための娯楽本ではなく、論を展開している本を読む場合、次の4点をしっかり押さえておけば、時間がたっても内容を忘れることがない。

1.その論の趣旨

2.論の根拠

3.論の前提となっている知識・観点・価値観と、その論が生み出された歴史的背景

4.その論の構造(著者が多くの知識をどのようにつなげているか)

次ページ時間がない…そんな人はどうすればいい?
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