外国人が見限った市場で勝つ投資戦略とは? 安倍政権はこの先も「第三の矢」を放てない

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日本の長期金利がマイナス近辺になっているのは、日銀の政策効果もあるが、実体経済が先行きは期待できないと市場に思われていることが理由だ。それを象徴しているのが、インフレ期待を表す指標である5年物インフレ・スワップ金利だ。去年の5~6月までは安定して2%弱程度の水準で、このときはまだ将来的にはインフレになるだろうという期待はあった。ところが、マイナス金利を導入した今は1%程度まで落ち込んでいる。これだけ追加緩和をしたのに、マーケットは「2%インフレは無理だろう」と見るようになっている。

今後も「第三の矢」が放たれることはない

アベノミクスで掲げられた第三の矢は成長戦略だったが、潜在成長率を伸ばすと言ったものの、実のところは何もやってはいない。構造改革や規制改革というと聞こえはよいが、既得権益から利益を奪い取って競争にさらすことに他ならない。いまだにイギリスではサッチャーを恨んでいる炭鉱労働者がたくさんいる。

それでもやらなければいけなかったのが構造改革だが、アベノミクスの3年間ではできなかった。圧倒的な議席数を保ち続けた安倍政権でできなかったのだから、これからもできないだろう。われわれ金融関係者はいつも「長期的には日本経済は回復し、株価は上昇する」というが、それはもはや夢物語だ。そうなれば、もう「バイ&ホールド」では儲からない。潜在成長率が0%台の国で長期投資をするのは難しい。

とはいえ、この先1年に限れば政策総動員でテコ入れをしてくるだろう。今マーケットが期待しているのは財政出動など政策しかない。今後、世界的な景気減速に対する懸念から瞬間的に日経平均は1万5000円を割るかもしれないが、1万円前半に向かうことは政府が許容しないだろう。だから、下値メドは1万5000円程度になる。

問題は、「上値を買ってくれる人はいるのか」ということ。アベノミクスの3本目の矢が外れた今、かつてのように外国人投資家が大挙して中長期的に資金を投入してくることはないだろう。ヘッジファンドは買ってくるかもしれないが、彼らは逃げ足も早い。最も長く持っても1カ月。上値はせいぜい1万8000円だろう。

そうなると投資戦略は簡単で、「押し目買いの吹き値売り」。逆張りを徹底させるのが重要だ。PERでいうと13~14倍、PBRで1倍に接近してきたときは買える。いつも強気な投資家までもが弱気になったときに買うのは難しい。だから、もういっそ機械的にやった方が良いかもしれない。

(構成)渡辺 拓未

藤戸 則弘 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長

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ふじと のりひろ / Norihiro Fujito

昭和54年早稲田大学卒。国際証券入社前、約20年にわたって生命保険会社で資産運用業務に従事。ファンド・マネージャー、年金資金のポートフォリオ・マネージャー、企画担当を経験。平成11年9月国際証券に入社し投資情報部、平成14年9月三菱証券投資情報部長、平成18年6月三菱UFJ証券参与・投資情報部長シニア投資ストラテジスト、平成22年5月三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与・投資情報部長、シニア投資ストラテジスト(現在)

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