外国人が見限った市場で勝つ投資戦略とは? 安倍政権はこの先も「第三の矢」を放てない
対して原油需要はグローバル全体でスローダウンしており、需給が改善するとは思えない。では直近の価格上昇はなぜ起きているのかというと、これも投機だろう。増産凍結するとはとても思えないが、産油国が増産凍結会議を開き始めたことを材料に投機マネーが仕掛けた結果、原油価格が上昇した。
ところが、供給がだぶついた状況は変わっていない。原油価格は再び40ドルを割れて、30ドル半ばまで行く可能性がある。米国景気が減速すれば、30ドルに接近するかもしれない。日本の資源関連株は前期に大幅な減損を出して「ウミを出し尽くした」と言っているけれども、まだ注意しなければいけない。
好調な米国自動車販売にも「バブル注意報」
世界経済を牽引してきた米国も楽観できない。年初は2016年のGDP成長率は3%、さらに強気の人は3.5%成長を予想する人もいたが、今年1~3月期のGDPは前期比年率で0.5%成長に終わった。他の指標を見ても、個人消費は1.9%と減速傾向だし、設備投資はマイナス5.9%で、純輸出もマイナスだ。高水準が続いている住宅にも、ピークアウト感がある。
一方、自動車販売はまだ好調だ。ただ、自動車販売で注意しなければならないのが、借り入れの中に占めるサブプライムローンの比率が高まっていること。年収200万円の人が700万円するピックアップトラックを買っている状態で、バブルの様相には警戒しなければいけない。
一番良いのは雇用だが、労働市場情勢指数はマイナス0.9%とマイナス幅は縮まっているものの4カ月連続のマイナスで、雇用回復のピッチは鈍化してきている。雇用は代表的な景気の遅行指数であり、その雇用が鈍化しているというのはかなりまずい。
アトランタ連邦準備銀行の予想によると、アメリカの4~6月期GDP成長率は1.7%。1~3月期が0.5%なので、年率3%成長を達成するには年後半からかなり回復しなければいけないし、仮に回復しても2%成長に届かないリスクがある。一番強い米国ですら停滞が見えており、先進国の鈍化傾向は強まっている。
日本は言うに及ばない。個人消費は昨年9月からずっとマイナスが続いており、設備投資も悪化している。世界景気の鈍化と資源価格の下落を見れば、設備投資を控えるのは当たり前だ。輸出を見ても、中国が最大の貿易相手国で、その中国の景気が悪いので良くなるはずがない。さらに、熊本の震災の影響も大きい。ソニーやトヨタといった主要企業が被害を受けているので、4~6月期のGDPはそれほど大きな期待はできない。
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