中国は心配ない、ハイブリッドも追い上げる ホンダ伊東孝紳社長に聞く
――中国事業を拡大させるという中期計画に変更はありませんか。
変更するつもりはないですよ。中国の民衆にもっと支持されるためには、潜在的なものも含めてどれだけ現地のニーズに即して商品を提供できるかが重要です。つまりメーカーがどういうクルマを売りたいかというわれわれの都合ではなくて、顧客の要求に応えられるかどうかです。
そういう意味では、絶対に中国現地での開発が必須になるわけですね。そして現地の取引先を使い、現地で販売する。そして現地に利益を還元する。そのサイクルがあれば中国でも認められるはずです。
――中国以外でも世界各地域での自立した開発・生産・販売体制の構築というグローバル化を強調しています。ただホンダはこれまでもグローバル化が進めていたのではないでしょうか。
まだ全然。グローバル化については北米は確かに進んでいた。どこよりも早く現地生産・現地販売をし、さらに現地開発も進めています。確かに北米はすごいと思うけど、他の地域は北米をコピーしているだけですね。商品も事業もコピー。
地域に合わせたやり方が必要
これが、今、もっとも大きく飛躍する新興国地域での飛躍をけっこう阻害しているのではないかと思っています。各地域にはその地域に合わせたやり方があるはずです。
なぜなら、その地域に人が暮らしていて、その人たちが欲しがる商品を売るのだから、基本的にはその地域に即した事業運営を考えなくちゃいけない。これを真のグローバル化と考えて、現在進めています。
現地生産・現地販売はかなり前から進めていますが、本当に現地の顧客に好まれるものを作るには、開発も調達も現地化しなくてはだめ。中国には中国の現地化があるでしょうし、アジアにはアジアの現地化があるでしょう。そのためにキーになる開発の人材を育てようと、今、一生懸命やっているところです。
先日もブラジルに行ったのですがその最大の目的は現地で車の開発が自分でできるような開発体制を作るようにすること。これまでも開発体制はありましたが、そんなレベルでは全然足りない。それで大幅な開発のテコ入れをすると発表しました。