中国は心配ない、ハイブリッドも追い上げる ホンダ伊東孝紳社長に聞く
――9月に発表した中期計画では新興国の拡大を軸に、全世界販売600万台を掲げました。これまでホンダは数値目標を掲げることはなかったと思います。考え方が変わったのでしょうか。
そうですね。確かにホンダは目標台数必達のために何かする、というアプローチではなく、お客さまに喜んでもらえる商品を極めれば、結果として台数がついてくる、という考え方でした。
それは今でも変わっていません。今回掲げた600万台も、それに達しなかったから失格、達したから合格、という意味の数字ではありません。
ホンダがやると言わなければ取引先はついてこない
ですが、自動車産業というのは8割が取引先からの部品で成り立っているんですね。そうすると取引先との関係では、数が圧倒的なパワーになります。「ホンダはこれだけやります」と言わなければ取引先はついてきてくれない。
日本中心で、為替も円高ではなかった今までは、モノづくり・商品生の優位性を示していれば、それなりの結果も出て、取引先も納得し、黙ってついてきてくれた。
でもグローバル化し、円高も定着した今は違う。数を示さなくては取引先は納得しない。ホンダはこれだけやる覚悟なんだと、社内にも取引先にも示す必要があります。
――目標達成には新興国での生産能力が足りません。
全然足りない。急ピッチで拡大しますよ。タイやインドネシア、インド、中国、ブラジル、メキシコなどで拡大していきます。ロシアについては、国土の広さや資源依存に依存した経済などちょっと慎重な見方をしていますが。具体的にはお話できませんが、どこでどれくらい生産するという見当はあります。
人的なリソースや資金面など大変なことはたくさんありますが、人間、大変なことをやり遂げて初めて満足できるじゃないですか。600万台は社内にカツを入れるという意味もあります。
――北米を始め先進国市場は、中国がああいう状況の中、やはり重要な市場です。
9月に投入した主力車種の新型アコードは好調です。米国人の日常の車としてあれ以上のものはないくらいのいいセダンですよ。シビックやCR-Vも好調。震災前のシェア回復は確実です。