新谷:時間との勝負です。スマホの闘いでは、1秒の差でPV数が歴然と変わります。東洋経済オンラインさんのほうが、そのあたりよくご存知だと思うのですが。動画・音声への広がりと、締め切りからの自由など、新しいメディアとしての可能性はものすごく大きい。
あとはそれをいかにお金に換えていくのか。そのためには6000人をもっと増やしたいし、会員との双方向でのつながりを強化したい。うちはレベルの高い読者が多くて、ほんとうに感心するくらい物をよく考えています。その読者の考えを誌面に反映すれば、読者も自分のメディアだと参加意識が高まり、つながりが強化されて、一緒に作っていくという実感が得られるようになる。その結果、文春デジタルが新たなメディアとして育っていく。そしてそれが収益にもつながっていく。
木本:参加意識は大事かもしれませんね。
いいニュースはタダじゃないことを知ってほしい
新谷:「ネット上ではニュースはタダ」が、常識になっていますが、手間ひま・おカネをかけて作っているニュースはタダじゃありません。タダでは持続可能な形でお届けできないということをぜひ理解していただきたいです。面白い、知っておくべきニュースにはお金を払っていただきたいと強調したいですね。
木本:それは僕もよくわかります。
新谷:最近デスク陣とよく話しているのは、週刊文春というメディアが生み出すコンテンツを使って、いかにマネタイズしていくか。基本は紙だけど、デジタルも同様。雑誌の塊じゃなくて、バラ売りもしています。SMAPの解散騒動で話題になった時には、去年の1月にメリー副社長の「飯島を呼んで」というインタビューを、電子書籍として100円で出したら1万部以上売れたんです。清原さんが覚せい剤で逮捕された時も、きっかけになったうちのスクープ記事を100円で売りました。
木本:1本の記事のストックが1万部は大きいですね。
新谷:もうひとつは、文春の記事をテレビ局が使うときは、今まではぜんぶ無料でした。表紙を映して、記事を常識の範囲で引用という扱いでした。年明け以降、顕著なのですが、30分以上もうちの記事だけで番組を作っている場合もある。テレビでお腹いっぱいになって、雑誌買わなくていいや、という人もでてくるだろうというくらい。
木本:番組を見ればだいたいわかってしまいますからね。
新谷:このままでは、単なるお人好しだろうということで、4月からは記事使用料を頂くことにしました。
木本:方針が変わったんですね。
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