「週刊文春」はデジタル時代にも稼げるのか 有料購読で稼ぐモデルが見えてきた?!

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新谷:スキャンダルを報じると、ジャニーズのファン層が1日に何百人も入会する。またすぐに辞めていくんですが、全員は辞めないんですよ。200人入って150人辞めても、50人は残るんですよ。私の解釈では、目当て以外の記事も送られてくるので読んでみたら、意外と面白いという人が残って、一定数積み上がってきたのではないかと。急激には増えないけど、徐々に積み上がって6000になった。ここに可能性はあると思っています。

木本:確かに文春を本屋、コンビニで買う人は、若い人からしたらオジサン層だと思うんです。ネットだとそのイメージなく入ってこられる。若いオンナの子には手に取るのは恥ずかしいという人もいると思います。

音声と動画には可能性がまだまだある

新谷 学(しんたに まなぶ)/1964年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、文藝春秋に入社。「スポーツ・グラフィック・ナンバー」「マルコポーロ」「文藝春秋」編集部やノンフィクション局第一部長を経て、2012年4月「週刊文春」編集長に就任。「メリー喜多川独占インタビュー」「ベッキーと川谷絵音の不倫」「甘利大臣金銭授受疑惑」「育休議員、宮崎謙介のゲス不倫」「舛添都知事の公用車での別荘通い」など特大スクープを連発している

新谷:電車に乗っている人を見ると、7割くらいの人がスマホを見ていますよね。スマホで読めるもの、見られるものじゃないと、まずスタート地点に立てません。雑誌に限らずあらゆるメディアがフラット化して、一緒くたになってスマホで見られるかどうかを勝負しています。

木本:スマホが第一のポイントになる。

新谷:文春デジタルとして可能性があるのは、音声と動画。ゲス不倫の宮崎議員も、「先生、父親として」と記者が声をかけて追っかけているのを動画で配信できる。安村さんの時も、「安村さんパンツはいてましたか?」と直撃しながら動画を回す。それもうちの記者が独自でビデオを回している。まだ慣れていないので、手ぶれしまくっているのですが、それがかえって深作欣二の映像のように生々しかったりします。

木本:確かに臨場感ありますよね。

新谷:動画、音声を使える。ASKAさんが覚せい剤で逮捕された時も、うちのインタビューに答えて、『あれは覚せい剤じゃなくて、アンナカ(安息香酸ナトリウムカフェインという強心剤・鎮痛剤の通称)です』としゃべっている音声も、公開しました。それによってメディアとして可能性が大きく広がる。

木本:ありましたね。

新谷:そして、デジタルだと締め切りが関係なくなります。

木本:紙の文春は木曜日発売ですね。

新谷:でも、デジタルは、いつでも出せます。書かれた相手が記事を事実無根だと言った時には、再反論もすぐにできますし、号外みたいなものを……

木本:すぐに打てると。

新谷:それが顕著に出たのは、朝日新聞が叩かれた時に、池上彰さんのコラムをボツにした一件。あの時に、うちも池上さんのところに取材に行ったら「文春遅い、新潮はもう来たよ」と言われた。「やばい、木曜日同着だな」ということで、火曜日のうちに一報だけ出しました。そうしたらもう、数百人単位で会員が増えましたよ。

木本:そんなに明らかに数字に反映されるんですね。

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