新谷:芸能人・政治家に限らず一般企業でも、ものすごく悪質だったり、違法性があったりとか、世の中に大きな悪影響を与えているといった場合は、大して有名でなくても大きく取り上げることはあります。記事が出た結果、有名でなかった企業をみんなが知ることになって、それについて根掘り葉掘り知ることでどんどんと知名度が上がることもある。
食品偽装とか、食品横流しなどのケースですね。ぜんぜん知られていないけど、やっていることは悪質で、しかも氷山の一角で、この会社だけでなくて、他もやっているとなれば、報道を拡大させていく意味があるわけです。その天秤を意識しています。
ショーンKの経歴詐称を、なぜ報じたのか?
木本:なるほど。ちょっと戻りますが、人間なんて、全員ドラマがあるじゃないですか。それを記事にするきっかけは、たとえば僕が急にクローズアップされて、大抜擢で何かの番組をやるとなったら、その時に、一回ピントを合わせるんですね。
新谷:大抜擢されるとなると、その人間への興味が湧きますよね。誰しもがこの人はどういう人なんだろうと気になる。
木本:一応、調べるんですよね? その場合。
新谷:ショーンKさんなんかはまさにそうですよね。ニュースの顔に大抜擢されたので。とくにニュース番組のアンカーマンは、世の中に大きな影響を与える人ですから。アメリカなんかだと、ウォルター・クロンカイト(「CBSイブニングニュース」の伝説的アンカーマン)とか、ダン・ラザー(クロンカイトの後を継いだアンカーマン)といった有名な人がいて、場合によっては大統領よりも影響力が強かったりする。世論をリードする可能性が十分にある人に対しては、どういうバックグラウンドを持った人なのかを調べるのは当然だと思うんです。まあ、フジテレビがそれを調べないで大抜擢したのには驚きましたが。
木本:そうか、これからの影響力を考えて取材対象になったと。
新谷:もちろん木本さんが、映画の主演をするという事になったり、「ゴゴスマ」のコメンテーターからキャスターに抜擢されれば、ピントを合わせます。
木本:パッと、ロックオンされるわけですね。
新谷:「どんな人だっけこの人? ちょっと調べてみようか」とはなりますね。
木本:それは、調べるとなったら、ネットの検索だけじゃないと思うんですが、たとえば僕の場合だったらどうします?
新谷:まずは、親しい仕事仲間を中心に、いま現在日常的に接している人たちに評判を聞きます。日頃の仕事ぶり、仕事じゃないときの趣味なんかを聞きますね。出身大学や、高校、中学、小学校まで、場合によっては徹底的に調べます。
木本:聞いてて、ぞーっとしてきました。
新谷:生い立ちからさかのぼって、ずっと交友があった人とか、初恋の人とかにも話を聞きにいくかもしれません。
木本:調べられたいような、そうでもないような、複雑な心境になりました。正々堂々と、いい記事で載っけてもらえるように精進します。
(構成:高杉公秀 撮影:梅谷秀司)
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