MBA留学は本当に人生を変えるか? グローバルエリートの"聖地"は、今

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カリキュラムや就職先が世界経済の趨勢に応じて、変わっていくのはもちろんのことだが、驚くべきは、日本人留学生の数の減り方だろう。

ハーバードの日本人学生は、1学年、笹本さんを含め全部で7人。900名中7名だ。日本人学生が比較的多いことで知られていたウォートンでさえ、840人中、日本人は浅原さんを含め4人。コロンビアに至っては、11年9月に入学した日本人は、550名中、川本さん1人しかいない。

クラスに日本人はたった1人

その他のトップビジネススクールの学生に聞いてみても、日本人留学生(日系アメリカ人などは除く)の数は、だいたい1学年に数人から10人程度。日本のGDP(世界第3位)を考えれば、信じられないぐらいの少なさだ。

私が留学していた10年前に比べても、半分ぐらいの人数ではないかと思う。実際、欧米のビジネススクールを受験する際に必須となっているGMAT試験の日本人受験者数の推移を見てみても、02年に、延べ5620人だった受験数が、11年は2518人と半分まで落ち込んでいる。

GMAT試験を運営しているGMAC(Graduate Management Admission Council)は、日本人受験者数の減少について、「日本では、ビジネススクールを受験する世代の人口(20代後半)が少なくなっているからだ」と説明している。

しかし、それだけで、10年前の「半分」にはならないだろう。

日本企業が社費留学制度をなくす傾向にあること、円高とはいえ、高額な授業料(ハーバードビジネススクールの2年間で、約11万ドル=900万円)が、私費留学を志す人の足かせとなっている。

さらに、出願しても「受からない」という現実がある。コロンビア大学ビジネススクールで、550人中たった1人の日本人として奮闘する川本さんは、次のように語る。

「入学して最初の学生同士の飲み会は、ちょっと苦痛でしたね。自分から積極的にアプローチしないと知り合いさえもできない状況でした。あまりに日本人が少ないので、コロンビアの入学担当官に原因を聞いたことがあります。

いろいろと理由はあるかもしれませんが、僕が受験した年、そもそも3人の日本人にしか合格を出していなかったことがわかり、驚きました。日本人の英語力が相対的に低いのも、合格を出しにくい理由の1つかもしれません」

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