中国や韓国の企業は、"貴重なお客さん"
それに比べて、躍進しているのが、韓国人と中国人だ。コロンビアには、それぞれ、1学年、20人から30人在籍していて、大グループを形成しているという。ウォートンでも、韓国人が約20人、中国人(台湾・シンガポール・香港含む)は50人ぐらい在籍しているそうだ。
確かに11年のGMAT受験人数(国籍別)を比較しても、中国は日本の16倍で約4万人、韓国は2倍で約5000人。
1学年20人から30人と言えば、1980年代後半から90年代初頭の日本人留学生の数に匹敵する。今は中国と韓国がビジネススクールバブルを迎えているのだろうか。
「韓国人の留学生はサムスン、LG、ヒュンダイなど、大企業からの社費留学が多いですね。卒業後のことを考えなくていい分、よくゴルフをしたりしてのんびりした雰囲気です。
韓国人コミュニティの中だけにいて、あまりクラスメートとも交流がない人もいます。バブルの時代の日本人留学生って、こんな感じだったのかなと想像することもあります」(浅原さん)
米ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌(オンライン版)は、10年3月11日付けで、「Why MBAs are Going East」という特集記事を掲載し、アメリカのビジネススクールの学生が、「成長するアジア企業」に活躍の場を求めて、あえて中国や韓国の企業に就職する様子を伝えている。
記事によれば、韓国サムスン電子は09年、米トップビジネススクールから50人もの学生を採用している。韓国人学生を除いて、50人である。中でも、ノースウェスタン大学ケロッグスクールからは、16人も採用したのだという。
学生の就職率や就職後の初任給は、ビジネススクールの評価やランキングに大きな影響を与える。中国や韓国の企業は、卒業生を高給で採用してくれる、貴重なお客さんなのだ。
「授業でも、中国4大銀行の躍進や、サムスンのグローバル経営戦略など、今、学ぶべき事例として取り上げられることが多いですね。残念ながら、日本企業の事例は、トヨタのオペレーション戦略など、かなり昔の事例が取り上げられています」(川本さん)。
確かに、過去10年で売上を3倍以上に伸ばしたサムスン電子(01年約3兆円から11年約11兆円)に比べれば、日本企業に元気がないのは否めない。
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