電通が語った五輪「裏金疑惑」への弁明とは? 「ガーディアン紙の記事には誤認がある」

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国内外で拡大を続ける同社だが、最近は東京オリンピック招致にかかわる「裏金疑惑」が取りざたされている。この裏金疑惑とは、招致委員会がシンガポールのコンサルタント会社、ブラック・タイディングス社に2度にわたって振り込んだ資金が、IOC(国際オリンピック委員会)関係者への賄賂ではないか、という疑惑だ。

ブラック・タイディングス社については、5月16日に馳浩文部科学相が「電通に勧められて招致委員会が契約を判断した」、JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和会長も、同社のコンサルタントであるイアン・タン・トン・ハン氏から売り込みがあり「電通に実績を確認した」と発言している。

電通が推薦したとのことだが、会社側の主張は次のようなものだ。

「招致委員会から照会のあった複数のコンサルタントに関して、知る範囲で各氏の実績等について伝えた。イアン・タン氏はその一人」。双方の主張はやや異なっている。

仮に関与があれば、大幅なイメージダウン

また、問題を報じた英ガーディアン紙の記事についても、誤りがあるとしている。同紙は電通の子会社であるAMS(アスリートマネジメント・アンド・サービス)がイアン氏を雇っていたと報じたが、会社側は「電通の子会社ではなく出資関係もない」と否定した。

ガーディアン紙からは掲載前に問い合わせがあり、事実誤認を指摘したが、そのまま掲載されたという。また、「現在のところ、フランス当局から捜査協力の要請などは受けていない」としている。

仮にオリンピック招致をめぐる組織的な不正があり、それに電通が加担したとなれば、大幅なイメージダウンは避けられない。海外における買収戦略も当然、見直しを迫られることになる。JOCの竹田会長は第三者組織によって調査を進める考えを示している。電通の関与の有無も、早晩明らかになるだろう。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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