電通が語った五輪「裏金疑惑」への弁明とは? 「ガーディアン紙の記事には誤認がある」
2013年に英広告会社のイージス・グループを4000億円で買収し、本格的な海外戦略を開始した電通。世界大手に向けて買収を重ねる中で、思わぬ落とし穴があったのか。
東京五輪「裏金疑惑」については記事の後段で触れる。まずは同社の直近決算についてみていこう。電通が5月16日に発表した2016年1~3月期業績(国際会計基準、決算期が前期の3月期から今期は12月期に移行)は、収益が1995億円、営業利益が317億円だった。
業績を牽引したのは国内だ。売上総利益は993億円と前年の941億円(2015年1~3月期、以下同じ)から伸ばした。国際会計基準に移行していることや、代理店の業務上、実際に得られる手数料収入に近いこと、海外大手との比較を重視しているため、電通は売上総利益ベースで事業の動向を判断している。
五輪スポンサーシップが伸びを牽引
媒体別の売上高をみると、新聞、雑誌、ラジオはマイナス傾向が続くが、テレビ広告において、番組の間に流すスポット広告が4.4%増と好調だった。番組内の放送時間枠を販売するタイム広告も1.3%増と堅調に推移している。
大きな伸びとなったのが、東京オリンピック・パラリンピック関連のスポンサーシップ販売(最上位のゴールドパートナーには、第1号のNTTに加えアサヒビール、アシックス、キヤノンなどが名を連ねている)。これらは2020年までの長期契約で、スポンサー料が毎年1月に分割で支払われるため、1~3月期における上乗せ要因となった。
海外の売上総利益は円高が足を引っ張り、0.9%の伸びにとどまった。
欧州・中東・アフリカ地域は、英国やスペイン、イタリア、ロシアが好調。英国やロシアはデジタルメディアを軸に伸ばし、スペインではクライアントの新規開拓も進んだ。為替の影響があっても9.8%増だった。
一方、北米・南米地域は5.5%のマイナス。子会社のマクギャリーボウエンが昨年、利益率の高いクリエイティブ(広告の素材、制作物)において、大型顧客2社の契約を失ったことに加え、円高が影響した。アジア地域もおおむね好調だったが、同様に円高の影響は大きく、2.0%減となった。
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