レバークーゼンでプレーする細貝萌は、まだ日本代表に選ばれてない時、メンタルトレーナーからこうアドバイスされた。
「普段から、日本代表選手だという気持ちで生活してみよう」
これを聞かされたとき、細貝は「難しいでしょ」と感じた。まだ浦和レッズでもレギュラーを取っていなかったからだ。だが、それを意識して生活するようになると、街を歩いていても「自覚を持とう」と考えるようになり、普段の振る舞いに少しずつ変化が生まれた。その後、細貝は2008年北京五輪に出場し、2010年9月に日本代表デビュー。現在は日本代表の欠かせないメンバーになっている。
この「TVカメラがすぐ横にあると意識する」という習慣は、他の仕事にも応用できる。手前味噌になってしまうが、スポーツライターが選手にインタビューをするときがそうだ。
「生中継されている」という緊張感
筆者のスポーツライターの師匠である金子達仁氏に、こんなアドバイスをもらったことがある。
「インタビューをする時は、うしろにカメラがあって、生中継されていると思って臨んでみろ」
インタビューというのは、どんなメディアであろうと編集作業がのちに加えられるために、すべてがノーカットで放送されるということはほぼない。ただし、あとで編集すればいいという考えは、甘えや油断につながる。一瞬の熱を逃がさず、インタビューのストーリー性を失わないためには、特別な集中力が必要だ。「生中継されている」と思うことで、感覚がより鋭くなる。
TVカメラが常に自分の横にあると意識する――。本田のように24時間続けるのはハードルが高いとしても、仕事や生活の一部分にそれを取り入れることはプラスになるはずだ。
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