「仕事がつまらない」と嘆く前に古典を読もう

「鉛を掘る」ような地味な仕事もバカにするな

急にスケールの大きな話になりましたが、どういうことでしょうか。森信三先生は、「鉛を掘りなさい」とも話しています。

これは例え話のひとつなのですが、鉱山で働く人を思い浮かべるといいでしょう。鉛のような安いものを掘るのはバカらしくて、高級な金や銀がほしいと探し回るほうが効率的に思うかもしれませんが、それは違います。そんな安い鉛でも必要としている人は必ずいて、それを必死で掘っていくと、不思議なことにいつの間にか金や銀が一緒になって掘り出されるということです。

私は社会人としてのキャリアをリクルートでスタートさせてから今までずっと、目の前の仕事を一所懸命にやり続けてきました。その結果、いつかやりたいと思っていた執筆の仕事をするようになりました。そしてメルマガやコラム、本を書いているうちに気づいたのです。「自分の可能性をあきらめかけた人へ、自分の体験を語ることで勇気を与える」。それは目の前の仕事に没頭し続けたからこそ、見出すことができた境地でした。

私に限らず、一見すると地味で小さく見える下積みのような仕事でもコツコツと続けていくことで大きな広がりを見せることは、大なり小なり成功したビジネスパーソンなら誰しも体験することです。

日本一のコピー取りを目指せ

現阪急阪神東宝グループ創始者の小林一三さんの言葉も、示唆に富んでいます。

「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら誰も君を下足番にしておかぬ」

これを現代風に言うならば、次のようになるのではないでしょうか?

「コピー取りを命じられたら、日本一のコピーを取ってみろ。そうしたら誰も君にコピーなんて頼まなくなる」

上司や先輩にコピーを頼まれると、「こんな仕事、やっていられない」「なんで自分が雑用ばかりしないといけないんだ」と言いたくなる人もいるでしょう。それは、目の前の「鉛」を掘ろうとせずに、もっといい仕事はないかと金や銀ばかりを探すのと同じです。当然ですが、目の前の仕事で手を抜く人に、誰もチャンスなど与えるはずはありません。

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たとえコピー取りであっても、まずは目の前の「鉛」を懸命に掘らないと何も始まりません。迅速に、かつ丁寧に。上司や先輩は必ずその姿勢を見ているものです。そして、この人にコピー取りばかりさせていてはもったいない。もっと大事な仕事を任そうと、次なるチャンスをもらえるのです。

仕事とは、いわば目の前の「鉛」を掘り続けることです。そうすることで、より責任の大きな仕事を任されるようになるし、やりがいもついてくる。近年の「意識高い系」の新入社員の方にはすぐ理解してもらえないかもしれませんが、人生には都合のいいショートカットなど存在しないのです。

早くも「仕事がつまらない」と嘆いている新入社員や、その新入社員を導く先輩、上司にこそ、愚直に人間力を高めることの大切さを教えてくれる「古典」に触れてもらいたいものです。

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