30代で始める「ノマド・トレーニング」
これまでのベンチャー企業の一部にも「たくさん休んで、楽しく働こう。遊ぶように仲良くやろう」という自由な風土を持つところがありましたが、現在の先進的な企業の自由は根本的に異なります。決定的な違いは、ビジネスが大前提にあること。
ネットバブルの時代に脚光を浴びた一部のベンチャー企業は、投資家から集めたお金で自由を確保しましたが、結局、収益につなげることができませんでした。言ってみれば、お金と自由を浪費してしまったのです。
一方、現在の先進的な企業は、自らのビジネスでしっかりと上げた収益で自由を確保しています。その自由がビジネスに良い影響をもたらし、会社のさらなる成長につながっています。
「遊んでいてもよい」とされる会社には、「やった! 遊んでいられる」と大喜びして無邪気に遊んでいるだけの人は入社できません。まさに老子の言葉のように、仕事と遊びの区別のない、よりすぐりの天才と呼ばれるような人たちが集まります。
こうした人たちはそれぞれ個性的であり、考え方が違う人たちです。これまでは「あの会社は素晴らしい」とされる会社を訪ねると、全員が似たようなタイプでした。リクルートっぽい人たち、○○銀行っぽい人たちの集団だったということです。
しかし、これからの「素晴らしい会社」では、まったく異なる個性の相乗効果でビジネスが発展していくことでしょう。そこにはノマドを超えた世界が広がっているのかもしれません。
会社は投資として社員に自由を提供し、社員は自由に自分の能力を会社に売ります。日本でいえばカヤック、スタートトゥディ、米国でいうとグーグル、パタゴニア、ザッポス、タンブラーなどの企業が、先進的企業の一例といってよいでしょう。
こうした企業は「Fortune100」のランキングでは測れない「Fortunate100」と考えることもできます。企業そのもののノマド化─さらなるオルタナティブな選択肢を探して、私は現在こうした企業を取材しています。おそらく次の著作はこれをテーマに執筆することになるでしょう。
このように、すべては変化しています。そして変化こそ、選択肢の多様化につながり、選択の自由という幸せにつながると感じています。キャリアの未来予想図は決して閉塞的ではないとすら、今の私は考えているのです。
(構成:青木由美子、撮影:尾形文繁)
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