こうした脅威に対抗するには、イスラムの寛容の歴史に根差すイデオロギー闘争が必要だ。これは不寛容や暴力に対抗するものだ。しかし、それだけでは十分ではない。
そもそも今の危機を生んだ根本的な原因はジハーディズム(聖戦思想)というイデオロギーではなく国家統治の失敗だ。したがって困難だが重要なのは、しかるべき場所に民主的な国家体制を築き、イスラム国の影響力を排除することだ。そこでは過去の迫害や犠牲を考慮しなければならない。
確かに軍事力の使用が必要なのは明白であり、現在直面している課題の中で唯一解決が容易なのは、ラッカやモスルを奪還することだ。だが、アフガンのヘルマンド州やイラクのアンバール県を西側が奪回したことは何回もあったが、その結果はどうだっただろうか?
「第5波」を防ぐには
西側がラッカやモスルを奪回できたとしても、テロリストはそれを現代の「十字軍」によるものだと位置づけるだろう。そして、より暴力的な第5波が生まれてしまう恐れがある。
われわれは敵が欲しがるものを易々と渡してはならない。むしろ彼らに対するイデオロギー闘争を行い、彼らがテロ活動を行うのを可能ならしめている状況を変える取り組みを行う必要があるのだ。
イスラム過激派はわれわれを完全な闘争状態に至らしめるため、行動をエスカレートさせようとするであろう。2001年から何かしらを学んだのであれば、その罠にはまることがあってはならない。
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