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イスラム過激派によるテロの脅威に対し、強硬的な手段を取るべきだという論調が強まりつつある。専門家やテレビの討論番組の司会者たちは、シリアのラッカやイラクのモスルの解放が、この問題の解決の糸口となると主張している。同都市をどうすればイスラム国の支配から奪還できるかについて、議論を重ねているのだ。はたして、それだけで十分だろうか。
国際紛争を扱う、ある研究機関のリポートによると、一連のイスラム過激派による脅威は現在、第4波を迎えているという。
最初の波は旧ソ連のアフガン侵攻から
第1波は、アフガニスタンでソビエト占領に対する戦いが終結した後、志願兵が自身を反イスラムと見なした政権に対して攻撃を開始した時期に当たる。続く第2波は、アルカイダなど過激派が「遠くの敵」の西洋諸国に対し、大規模テロを企てた時期だ。2001年9月11日の米国での同時多発テロは、第2波を象徴する事件である。
その後、世界的に反テロの機運が高まり、アルカイダなど過激派も弱体化したかに見えた。しかし03年以降の米国によるイラク侵攻が、スンニ派とシーア派との宗派対立を引き起こし、そうした混乱の中でアルカイダ系の過激派が台頭した。第3波の到来である。
一方でシリアでは、「アラブの春」による民衆の反政府運動をアサド政権が弾圧し、内戦が勃発していた。このイラクとシリアでの騒乱に乗じて誕生したのが、イスラム国である。その台頭がまさに第4波だ。
第4波はこれまでの波より、はるかに危険度が高い。内戦には何万人もの補充兵が参加している。また西欧社会においても不満を持った若いイスラム系のテロリストを募り、パリやブリュッセルで痛ましい事件を引き起こした。
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