脱藩官僚が育む「平成龍馬」の夢 新世代リーダー 朝比奈 一郎 青山社中株式会社 筆頭代表 

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そしてもう1つの問題は「政策」を作る仕組み。自民党も民主党も党内にシンクタンクを作ったけれど、結局うまく機能しなかった。これではどちらが政権を取ったって代わり映えがしない。ネクストキャビネットみたいなことをやってみても、絵に描いた餅。結局そこから大臣に就いている人はほとんどいないですよね。

青山社中で行っているのは、まさに「人材育成」と「政策作り」。人材育成のほうはリーダー塾という形で、行政、政治、経済などなど今の閉塞した状況を打破していけるリーダーの養成を図っている。

一方、政策作りの事業では、今は複数の政党と契約を結んで、政策作りのお手伝いをしている。国政だけではなく、地方議会向けとか、選挙に立候補する方のマニフェスト作りとかも担っています。最終的にはシンクタンクとして、しっかりとした政策の研究とそれを外に出していくことをしたいですね。

吉田松陰に学ぶ、次世代リーダーの育て方

僕が養成したいのは、「“国や社会のことを考えた”うえで、“変革を起こせる”リーダー」。実はこの2点の同時達成が難しい。というのも、国や社会のことを一生懸命考える人は、枠組みを抜本的に変えるような行動を起こすのが苦手。逆に変革に向かって突き進む人は、国や社会に対する考えが希薄だったりする。

――アクションとビジョンを持ち合わせたようなリーダーということでしょうか。青山社中のリーダー塾はどのような形式で進めているのですか?

松下村塾のようなものを思い描いている。「社中」とつけたのは、坂本龍馬の「亀山社中」を意識してのことです。「亀山社中」はすごく面白い。長州征伐のときには命懸けで戦う非営利団体だけど、一方で貿易商として利益を出していたりして。理念中心の結社で、営利とか非営利とかで切り分けず、社会のためになると思ったことを何でもやる。そんな組織にしたいというのが念頭にありました。

青山社中での人材育成をしていくうえで、大事にしているのが、自分のように比較的若い講師が語ること。年配者が上から目線で語るのではなくて、師弟が一体となってディスカッションしたり、経験を共有していくというスタイルです。

「一人の講師が教える」ということも大切なポイントです。例えば、多くの大学では、キラ星のように著名な講師陣が集って教えているけれど、そういう網羅性だけでは火が付いたようにはならない。

吉田松陰も専門は兵学だけど、別に敵が攻めてきたときの陣形について教えていたわけではありません。彼なりに学んだ陽明学とかを、彼なりの言葉で話していたから、弟子たちに深く伝わったんでしょう。

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