揺れるサークルKサンクス 止まらないFC離反

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上位3チェーンはプライベートブランド(PB)や小分けにした総菜、生鮮品などを拡充し、これまでコンビニで買い物をしなかった高齢者や単身者、女性を取り込んでいる。サークルKサンクスもPBやオリジナルスイーツをそろえて対抗するが、サンクス東四国の真鍋社長は「大手の後追いでしかなく、差別化の具体的な施策が見えない」と苦言を呈する。

セブン-イレブンに転換すれば、加盟店が本部に払うチャージの率が現在の原則31%から10%上がることになる。それでも、四国に未進出のセブン-イレブンに対する期待は大きい。「コンビニの経営はあと1年でやめようと思っていた。セブンに看板を替えられるなら、息子に継がせてあと10年、20年は行ける」。徳島で2店運営する68歳の木内正起オーナーは言う。

サークルKサンクスはサンクス東四国について、「加盟店が販売に注力できるような改装のご提案をしながら、最終的には残っていただけるように努力をしていく」(山田克巳常務)と話しており、東四国の加盟店を回って説得を続けている。が、「いまさら言われても遅い」(香川の眞鍋オーナー)。

実は、サークルKサンクスのサンクス東四国への出資比率は31%と低く、経営の実権を握ることができていない。本来は一心同体であるべき両社の対立が生まれたのには、そうした背景もある。

離反したCVSは好調

オーナーからは「(04年の)サークルKとの合併以降、急激に意思決定が遅くなった」との声も上がる。中京圏が主体のサークルKと関東中心のサンクスという地盤の違いや二つのブランドを残す選択をしたこともあって、相乗効果をなかなか発揮できなかった。

四国には、サンクス東四国のほかにサークルケイ四国というエリアFCもある。サークルKとサンクスの統合後もそれぞれが同じエリアで出店。サンクスのオーナーにとってサークルKは依然「競合他社」とのイメージが強いうえ、顧客の混乱も招いてきた。

サークルKサンクスにとって、資本関係の薄いエリアFCの離反は初めてのことではない。10年にはサンクスアンドアソシエイツ富山が、11年には千葉と東京で展開するCVSベイエリアが、それぞれサンクスとの契約を更新せず、ローソンへの看板替えを表明。サンクス東四国と同じく訴訟に発展した結果、サンクス富山はローソンに事業を譲渡。CVSベイエリアは15億円を支払うことで和解し、12年5月に全店をローソンに転換した。

CVSは、ローソンに転換した直後こそ発注の不慣れによる廃棄ロスの増加などで一時的に費用が膨らんだ。が、12年3~8月期は中堅以下のコンビニ既存店売上高が軒並み前年同期比マイナスとなる中、CVSは実質前年並みを維持。今期は3年ぶりに新規出店も再開する。「今の売り上げが確保できたのはローソンさんのおかげだ。スイーツなど個々の商品に対して広告宣伝がうまく、話題作りに長けている」(泉澤摩利雄社長)。

今年8月に大手スーパー、ユニーの完全子会社となり、競争力の強化を図るサークルKサンクス。ただサンクス東四国がセブン-イレブンに鞍替えすれば、サークルKサンクスの経営基盤は揺らぎ、大手3社との差はますます広がる。子会社ではないエリアFCは、関西、九州などほかにも4社ある。大手3社と戦える力を示せなければ、今後も離反が続く可能性がある。本誌:平松さわみ

(週刊東洋経済2012年11月17日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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