日系スーパー・コンビニは19日から平常営業相次ぐ 中国デモは18日がピーク

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中国での反日デモは、満州事変の発端となった柳条湖事件の起きた“国恥の日”9月18日を比較的穏便に通過できたことで、当面のピークを越したようだ。

中国に進出している日系スーパー、コンビニとも、19日から平常営業に戻ったチェーンが多い。ただ、平和堂など壊滅的な破壊を受けた一部店舗では、復旧のメドはしばらく立ちそうにない。

コンビニ業界では、ファミリーマートが16日午後以降、中国全域で平常営業を継続中。ローソンは18日に上海16店と重慶56店を休業したが、19日には全店が平常営業に戻った。18日に全店を休業したセブン-イレブンとミニストップも、19日から全店で営業を再開している。どのチェーンも目立った混乱は生じていない様子。

スーパーでは、イトーヨーカ堂(18日は食品スーパー形態2店を含む全15店が休業)が成都5店で通常営業に復帰。北京の計10店は北京市特別司令本部の連絡で営業時間を短縮、19日の午前中は様子を見て、午後にも営業再開の見通しだ。イオンは大きく破壊された青島の黄島店を含む3店(北京1、山東省済寧1)が公安当局の要請で19日午前中は休業、午後以降は状況を見て営業再開の可能性もあるという。

大阪地盤のイズミヤは蘇州の1号店(百貨店)の1階が破壊・略奪などの襲撃を受けたが、19日から全フロア(地下1階~4階)で営業を再開。ガラスが割れた部分はシート張りカバーをして、主に通路を客に開放、1階テナントの一部にはまだ営業できない店もあり、食品売り場も生鮮品など入手困難な商品があるものの、営業は行っている。

一方、滋賀地盤の平和堂は、湖南省の百貨店3店、特に1号店が大きく破壊・略奪されるなど、中国に進出している流通各社の中では最も大きく被害を受けたもようだ。一部破損した2~3号店を含め現在も休業が続く。営業できるフロアから再開するかどうかを含めて検討中だ。

山川 清弘 東洋経済『株式ウイークリー』編集長兼「会社四季報オンライン」副編集長

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やまかわ きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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